鬼の類型

甲州街道訪ね歩き

鬼の類型


 茨木童子は、平安時代に大江山を本拠地に京都を荒らし回ったとされる鬼の一人で、酒呑童子の最も重要な家来であったとされています。

 茨木童子は、極めて高い妖力の持ち主で、人に化けるのもお手の物でした。左手に鉤爪、右手に鉄棒を持ち、顔は老婆のようにしわだらけで、髪は白く長いと言われています。

 その出生地については、摂津国(大阪府茨木市水尾、または兵庫県尼崎市富松)という説と、越後国(新潟県長岡市の軽井沢集落)という説があります。

 茨木童子の出生には諸説ありますが、一説によると、茨木童子は人間の子として生まれましたが、生まれながらに牙が生え、髪が長く、眼光があって成人以上に力があったため、一族はこの子を怖れて茨木の里に捨てました。
 そこで酒呑童子に拾われ、茨木の名をつけて養われました。
 ある時、人間の血を舐めたことで本物の鬼になってしまい、酒呑童子とともに京を目指しました。

 酒呑童子一味は大江山を拠点にし、京の貴族の子女を誘拐するなど乱暴狼藉をはたらいたが、源頼光と4人の家臣たち(頼光四天王)によって滅ぼされ、茨木童子はその時逃げ延びたとされています。

 その後、頼光四天王の一人である渡辺綱と一条戻橋や羅生門で戦った故事が、後世の説話集や能、謡曲、歌舞伎などで語り継がれています。
 また、茨木童子の伝説は、「平家物語・劔巻」や「太平記」「前太平記」「源平盛衰記」「御伽草子」、能の「羅生門」などに登場してきます。

 渡辺綱と茨木童子の闘いの逸話はいくつかありますが、渡辺綱が茨木童子の腕を切って勝つものの、のちに茨木童子が女性などに化けて腕を取り戻しに来る、というパターンがほとんどです。京の一条戻橋での闘いでは、美女に化けて道に迷ったふりをした茨木童子が綱に襲いかかりますが、綱は童子の腕を切り落として難を逃れます。

 また、羅生門での戦いについては、茨木童子が頼光四天王の一人である渡辺綱と戦った説話が、後世の説話集や能、謡曲、歌舞伎などで語り継がれています。それぞれ細部が若干違いますが、だいたいの大筋は「渡辺綱が茨木童子の腕を切り落とすが、茨木童子は腕を取り戻しに綱の元へやってくる」というものです。

 このような伝説が多く生まれたため、本来は別々の鬼である羅城門の鬼と茨木童子がしばしば同一視されているようです。

 一方、「童子とダンゴ」の伝説は、茨木童子が親孝行な鬼であったという物語です。
 この伝説では、茨木童子は東寺(京都)の門に住んでいた時に親をたずねて富松の里に帰ってきます。
 親は鬼の姿をした子供にも関わらず「よく帰ってきてくれた」と言い、ダンゴを作ってもてなしました。
 元禄時代には、この伝説の童子を偲んで『だんご祭』が行われてきました。現在でもこの『だんご祭』は、毎年9月1日西富松の須佐男神社で斎行されており、無病息災、邪気退散、厄除開運が祈願されています。

 以上のように、茨木童子は、その地域の歴史や文化を反映したものであり、その地域の人々の生活や信仰を理解するための重要な手がかりとなっています。
 また、茨木童子は、日本の鬼の中でも特に凶悪な存在として描かれており、現代においても映画や漫画などの作品にも多く取り上げられています。