各地の民話・伝説に見る鬼
地獄の谷の鬼花火伝説(北海道)
地獄の谷の鬼花火伝説は、登別市にある登別地獄谷に関する伝説です。
登別地獄谷は、多種多様な泉質の温泉が湧き出す源泉地ですが、元々は活火山の噴火活動の爆裂火口跡でした。
立ち込める煙や煮えたぎるような噴気孔などから「地獄」と呼ばれるようになりました。
この地獄谷には、薬湯を護る鬼神たちが住むという伝説があります。
その名を湯鬼神といいます。
湯鬼神は、昔、人間を苦しめる悪さを重ねた鬼たちの末裔でした。鬼たちは、北の国を護る蝦夷の神の怒りを受け、地獄谷に追いやられました。そして、万物効能の薬湯を護るという使命が授けられました。
鬼たちは、その使命に忠実に従い、地獄谷の温泉を守り続けました。
しかし、鬼たちは人間の世界に対する憧れや恨みも捨てきれませんでした。
そこで、鬼たちは一年に一度だけ、地獄谷から出て人間の世界に行くことを許されました。その日は、旧暦の正月の十五夜でした。
鬼たちは、鬼火たいまつをかかげて地獄谷に姿を現し、厄を拾い集めながら太鼓を打ち鳴らし舞い踊りました。
そして、人間の世界に向かって鬼火を投げつけました。
鬼火は空に舞い上がり、美しい花火のように散りました。人間たちは、その光景を見て恐れおののきましたが、鬼たちはそれを楽しみました。
しかし、鬼たちの花火は、人間の世界に厄をもたらすだけではありませんでした。
鬼たちの花火は、人間の心の中にある悪い思いや欲望を燃やし、浄化する効果がありました。
人間たちは、鬼たちの花火によって、自分の心の中を見つめ直し、改心することができました。
この伝説は、鬼の花火というイベントとして現在も行われており、すべての人の無病息災や開運などを願っています。この伝説は、鬼の悔い改めと贖罪の物語であり、鬼は人間の煩悩の化身として描かれています。
しかし、鬼は人間の心を浄化する力も持っており、鬼は人間の救済者としても描かれています。
鬼は日本の文化に深く根付いた存在であり、悪から善や神まで多様な捉え方があります。
鬼は私たちの恐怖や憧れ、想像力の産物とも言えるでしょう。