鬼の類型

甲州街道訪ね歩き

鬼の類型


 大月市に伝わる鬼伝説は、桃太郎の物語と関係があると言われています。

 大月市には、桃太郎が鬼退治に出かけたときに出会った犬、雉、猿の名前がついた地名があります。それらは犬目、鳥沢、猿橋という地名で、国道20号線沿いに並んでいます。
 桃太郎が生まれたとされる桃は、百蔵山(ももくらやま)という山から流れてきたもので、桂川で洗濯をしていたお婆さんが拾い上げたという伝説があります。

 岩殿山は、桃太郎が鬼退治に向かった山とされており、その山頂には鬼が住んでいたと言われる「鬼の岩屋」という洞窟があります。
 桃太郎は、犬、雉、猿という家来を連れて岩殿山に登り、鬼と激しい戦いを繰り広げました。
鬼は桃太郎に対抗するために、自分の持っていた石の杖を投げつけたり、岩石を持ち上げて投げたりしましたが、桃太郎はそれらをかわして進みました。

 鬼が投げた石の杖は、石動の「鬼の杖」や笹子白野の「鬼の立石」という場所に刺さったり、転がったりしたと伝えられています。
 桃太郎は鬼の攻撃にも負けずに、やがて岩殿山の頂へ攻め上がり、鬼を追い詰めました12435。
 鬼は逃げ出そうとして、東にある徳巌山に片足をかけたところ、股が裂けて死んでしまいました。
 鬼が死んだときに飛び出した腸は固まって岩石となり、下の畑の隅に転がっていて「鬼の腸」と呼ばれています
 鬼が流したおびただしい血は、土の中にしみこんで、今でも赤い血のような土が岩殿の子神神社のあたりから沢山出てくるので「鬼の血」と呼ばれています。

 なお、岩殿山に住んでいた鬼の正体については、様々な説がありますが、以下の三つが代表的です。

岩殿城の城主説:この説では、鬼の正体は戦国時代に岩殿山に山城を築いた武田二十四将の一人、小山田信茂だとされます。信茂は武田氏の滅亡に際して織田方に寝返り、主君の武田勝頼を裏切ったため、鬼として恨まれたという話です。

朝鮮渡来人説:この説では、鬼の正体は朝鮮半島から渡来した鉄精錬の技術者たちだとされます。彼らは岩殿山で鉄を採掘し、武器を作って村人に暴力を振るったという話です。

超古代文明「富士王朝」説:この説では、鬼の正体は神武天皇よりもはるか昔に富士山北麓に栄えた超古代王朝「富士王朝」の末裔だとされます。彼らは高度な文明を持っていたが、何らかの理由で衰退し、岩殿山に隠れ住んでいたという話です。

なお、大月の桃太郎伝説については、「大月桃太郎伝説を追う」で詳しく紹介しています。