天狗の意義
石鎚山の天狗伝説(愛媛県)
石鎚山は四国山地西部に位置し、四国を代表する山で、その最高峰には天狗の伝説が残っています。
この伝説によれば、かつて石鎚山には「石鎚山法起坊」という名の大天狗が住んでいたとされています。
いにしえの人々は山を異界として恐れており、いつしか山に住む天狗を山の神様として位置付けるようになったという。
石鎚山を住処とした大天狗・石鎚山法起坊も、そんな山神であったのでしょう。
それが故に石鎚山の山頂は「天狗岳」と名付けられたと言われている。
この大天狗は、日本八大天狗の一角をなすとも、別格であるともされている強大な力を持つ存在で、その正体は石鎚山を開山した役小角であるという説が有力です。
役小角は修験道の開祖で、天狗のように自在に石鎚山を駆け回ったとされています。
彼は山岳修行を重ね、神仏調和を唱え、鬼神を使役できるほどの法力を持っていたと言われています。
役小角は、賀茂役公(えのきみ)、後の高賀茂朝臣の出で、大和国損木上郡茅原村の人という。生没年は不詳で、一説に643年頃~706年頃5。役小角の母は天から降ってきた独鈷(とっこ)という仏具が体内に入り、小角を処女懐胎した。
役小角は、4歳の頃、土で仏像のようなものを作ったり、7歳で誰にも教わらないのに梵字を書き始めたという逸話が記されています。また13歳の頃からは毎夜、葛木山に登り、朝になると戻ってくる生活を送っていたらしい。
石鎚山は、日本7霊山のひとつと仰がれ、西暦685年に修験道の祖、役小角(えんのおづぬ)によって開山されたと伝えられています。現在7月1日から10日まで開催されるお山開き期間中には、全国から白装束に身を包んだ信徒、修験者等が参集。山頂を目指して篤い祈りが捧げられます。
石鎚山は「神体山」とも呼ばれ、山自体が御神体とされています。このような背景から、石鎚山は修験道の聖地として知られ、多くの修験者が訪れてきました。
また、愛媛県西条のある人が子供を連れて石槌山に登った際に、わずかに目を離した隙に子供が天狗にさらわれてしまったという伝承もあります。
散々探したが見つからず、やむなく家に帰ると、子供が先に帰って来ていたという話です。これは、石槌山の烏天狗の仕業だといわれています。
これらの伝説は、天狗の神秘的な力とその存在が人々の生活にどのように影響を与えてきたかを示す一例で、その特異な姿と神秘的な力で、人々に恐怖と敬意を抱かせ、その結果、多くの伝説や信仰が生まれてきました
天狗の伝説
仙境異聞 | 天狗の世界に行った少年 |
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天狗の羽うちわ(秋田県) | 鼻が伸びる不思議な団扇 |
竹山神社の天狗伝説(鹿児島県) | 法螺の音が鳴り響き |
求菩提山のカラス天狗(福岡県) | 火を鎮める水の神 |
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石鎚山の天狗伝説(愛媛県) | 四国の最高峰に君臨する |
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高尾山の天狗伝説(東京都) |
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