天狗の意義
求菩提山のカラス天狗(福岡県)
福岡県豊前市の求菩提山には、山伏の姿をした「カラス天狗」の伝説が残っています。
カラス天狗(烏天狗)は、大天狗と同じく山伏装束を身につけ、烏のような嘴を持った顔をしています。
自在に飛翔することが可能だとされており、青天狗、小天狗とも呼ばれます。
カラス天狗は剣術と神通力に秀でており、昔は都まで降りてきて猛威を振るったとされています。
特に鞍馬山のカラス天狗は、幼少の牛若丸に剣を教えたとも言われています。
カラス天狗の姿は、烏と名がついているが、鳶などの猛禽類を前身としており、羽は猛禽類に似た色をして瞳も金色に輝くとされています。
また、服装や外見には修験道やインド神話のガルーダ(迦楼羅)の影響が見られます。
中世以降の日本では、天狗といえば猛禽類の姿の天狗のことを指し、鼻の高い天狗は、近世に入ってから主流となったものです。
さて、求菩提山のカラス天狗は、神通力を使うことができ、「火伏せの神」として人々から敬われていました。火をしずめるとはすなわち水の神様であり、火事を消し止めるだけでなく、雨を降らすこともできたといいます。
また、豊前市を代表するキャラクター、カラス天狗の「くぼてん」、「きょうこ」は市民にも人気があります。
求菩提山は、修験道の聖地として知られ、山伏たちが住みつき、様々な修行に挑み「一山五百坊」と呼ばれて、九州を代表する一大修験道場となりました。
この山の歴史は5世紀にさかのぼるともいわれていますが、修験道の山として歴史に登場するのは12世紀、旧豊前国宇佐郡出身の僧、頼巌による山の復興とされます。
この伝説は、その特異な姿と神秘的な力で、人々に恐怖と敬意を抱かせ、その結果、多くの伝説や信仰が生まれてきました。
天狗の伝説
仙境異聞 | 天狗の世界に行った少年 |
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天狗の羽うちわ(秋田県) | 鼻が伸びる不思議な団扇 |
竹山神社の天狗伝説(鹿児島県) | 法螺の音が鳴り響き |
求菩提山のカラス天狗(福岡県) | 火を鎮める水の神 |
相模坊天狗の伝説(香川県) | 上皇の霊を慰める |
石鎚山の天狗伝説(愛媛県) | 四国の最高峰に君臨する |
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大洞山の天狗様(岐阜県) | 自由気ままな酒好き天狗 |
高尾山の天狗伝説(東京都) |
道普請までお任せあれ |
紀州の空神伝説(和歌山県) | 白衣を着て飛び回る天狗 |
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