天狗の意義
飯能の天狗伝説(埼玉県)
奥武蔵・飯能は自然に恵まれた地域であり、そこには多くの天狗伝説が残っています。以下の話は、飯能市郷土館が発行した「飯能市郷土館研究紀要第4号」に載っているもので、村上達哉氏による「飯能市域に残された天狗の伝説について」からの抜粋です。
1話
昔、茂十という人が夜中に女の子を連れて子の山に登りました。
その夜は月がなく真っ暗でした。茂十は冗談で「山の天狗さん、提灯をつけてくれないか」と言いました。すると、子の山から近くの尾根上に次々と灯が点り、明るさが増しました。
恐ろしくて、茂十は山を逃げるようにして下りました。
2話
名栗の常次郎が実家への帰り道、夜に豆口峠の上に来ました。
すると、大きな坊さんが現れて、「ついてこい」と言いました。
常次郎は命令に従い、岩の上から向こうの山まで飛ぶように言われました。常次郎は死ぬかもしれないと思いながらも、飛んでみると、軽々と飛べることに気づきました。
そして一晩中、大坊主とともに山を飛び回り、朝になって気がつくと豆口峠の上にいました。
3話
昔、二宮という人が愛宕山(現在の天覧山)に仮小屋を建てて修行していました。
ある日、天狗が現れて、大木を切り倒したり、笑ったり、鍋を持ち上げたりしました。二宮は天狗だと気づきました。
それで、「今夜は冷えるから温めよう」と言いながら、杉の枝に折り火をつけました。すると、天狗の団扇を突いてしまい、驚いた天狗は団扇を落として姿を消しました。
4話
昔、名栗村の米八が金比羅尾根で草を刈っていました。
暗くなってきたのでため息をつくと、金比羅神社の上に大きな提灯が灯りました。
米八は山の天狗が助けてくれたと考え、その明かりを頼りに山を下りました。
5話
名栗の河又にあるコウモリ穴には、地蔵様が祀られ、コウモリがたくさん住んでいました。
ある夜、平九郎がネトリブチに行く途中、コウモリ穴で怪しい笑い声を聞きました。家に帰ると、獲物は皮と羽根だけになっていました。
以後、人々はコウモリ穴には天狗がいると言い伝え、近づかないようにしました。
天狗の伝説
仙境異聞 | 天狗の世界に行った少年 |
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天狗の羽うちわ(秋田県) | 鼻が伸びる不思議な団扇 |
竹山神社の天狗伝説(鹿児島県) | 法螺の音が鳴り響き |
求菩提山のカラス天狗(福岡県) | 火を鎮める水の神 |
相模坊天狗の伝説(香川県) | 上皇の霊を慰める |
石鎚山の天狗伝説(愛媛県) | 四国の最高峰に君臨する |
最乗寺の天狗伝説(神奈川県) | 近江の 三井寺から飛んできた |
大山のカラス天狗伝説(鳥取県) | 人間に驚かされる天狗 |
愛宕山の天狗修行(茨城県) | 天狗の修験道場 |
天狗の喧嘩(奈良県) | 物を投げ合う大喧嘩 |
大洞山の天狗様(岐阜県) | 自由気ままな酒好き天狗 |
高尾山の天狗伝説(東京都) |
道普請までお任せあれ |
紀州の空神伝説(和歌山県) | 白衣を着て飛び回る天狗 |
上伊那郡のハテンゴ(長野県) | 怠け者は要注意 |
飯能の天狗伝説(埼玉県) | 明かりをともして助けた天狗 |
夜泣きイチョウ(石川県) | 大声で泣く天狗 |
願いの叶う天狗の滝(大分県) | 願いをかなえる天狗の力 |
小笠山の天狗囃子(静岡県) | お囃子の音に天狗の姿 |
天狗の連れ去り(静岡県) | 連れ去られた子どもの運命は |
伊予ケ岳の天狗(静岡県) | 神通力をなくした天狗 |
天狗のいけにえ(福島県) | 連れ去られた子ども追いかけて |
天狗の詫び証文(静岡県) | 二度と悪さはしませんと |
天狗にさらわれた少年(静岡県) | 天狗たちに囲まれた少年の運命は |