天狗の意義
仙境異聞
『仙境異聞』は、江戸時代の国学者で神道家の平田篤胤によって記録された神道書で、全2巻からなり、1822年に刊行されました。
この書籍は、神仙界を訪れ、呪術を身に付けたという少年寅吉からの聞書きをまとめたものであり、別名『寅吉物語』とも呼ばれています。
寅吉少年は、幼い頃から疫病・災害の予言を的中させていた少年であった。
7歳の時、上野にある五条天神の黒門前で遊んでいると、杉山僧正という名の老人に出会いました。この老人は商売をしていて、商売が終わると持ち物を全て小さな壺に入れ、自らも壺の中に入り飛んで行ったと言われています。
寅吉はその老人に誘われて壺の中に入ると、現在の茨城県南台丈まで一気に連れて行かれました。
そこで寅吉は、5年間天狗界に伝わる数々の武芸や術を修行し会得し、その後しばらくして江戸に舞い戻ってきたという。
寅吉少年に様々な術や学問を教えた師である老人は、実は、常陸国岩間山(現在の愛宕山)に棲む「杉山僧正」という大天狗だったのです。
はじめは岩間山には杉山僧正を首領とする5人の天狗が住んでいましたが、だんだんふえて十二天狗になりその後、狢打村の長楽寺から一天狗が加わって十三天狗になりました。
平田篤胤は寅吉の話を聞き、その内容を『仙境異聞』に収めました。
その経緯を篤胤は、以下のように説明しています。「此は吾が同門に、石井篤任と云者あり。初名を高山寅吉と云へるが、七歳の時より幽界に伴はれて、十四歳まで七箇年の間信濃国なる浅間山に鎮まり座る神仙(寅吉の師翁で杉山僧正と名乗る山人)に仕はれたるが、この間に親しく見聞せる事どもを、師の自ずから聞き糺して筆記せられたる物なるが、我古道の学問に考徴すべきこと少なからず、然れど此は容易く神の道を知らざる凡学の徒に示すべきものには非らず。」
寅吉少年の物語は、当時の江戸の知識人の間で大きな話題となりました。
寅吉少年が天狗の世界に行ったという話は、当時の人々にとって非常に興味深いものでした。
そして、その物語は今日まで語り継がれています。
寅吉少年の物語は、私たちにとっても非常に興味深いものであり、その物語を通じて、私たちは江戸時代の人々の信仰や思想を垣間見ることができます。
天狗の伝説
仙境異聞 | 天狗の世界に行った少年 |
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天狗の羽うちわ(秋田県) | 鼻が伸びる不思議な団扇 |
竹山神社の天狗伝説(鹿児島県) | 法螺の音が鳴り響き |
求菩提山のカラス天狗(福岡県) | 火を鎮める水の神 |
相模坊天狗の伝説(香川県) | 上皇の霊を慰める |
石鎚山の天狗伝説(愛媛県) | 四国の最高峰に君臨する |
最乗寺の天狗伝説(神奈川県) | 近江の 三井寺から飛んできた |
大山のカラス天狗伝説(鳥取県) | 人間に驚かされる天狗 |
愛宕山の天狗修行(茨城県) | 天狗の修験道場 |
天狗の喧嘩(奈良県) | 物を投げ合う大喧嘩 |
大洞山の天狗様(岐阜県) | 自由気ままな酒好き天狗 |
高尾山の天狗伝説(東京都) |
道普請までお任せあれ |
紀州の空神伝説(和歌山県) | 白衣を着て飛び回る天狗 |
上伊那郡のハテンゴ(長野県) | 怠け者は要注意 |
飯能の天狗伝説(埼玉県) | 明かりをともして助けた天狗 |
夜泣きイチョウ(石川県) | 大声で泣く天狗 |
願いの叶う天狗の滝(大分県) | 願いをかなえる天狗の力 |
小笠山の天狗囃子(静岡県) | お囃子の音に天狗の姿 |
天狗の連れ去り(静岡県) | 連れ去られた子どもの運命は |
伊予ケ岳の天狗(静岡県) | 神通力をなくした天狗 |
天狗のいけにえ(福島県) | 連れ去られた子ども追いかけて |
天狗の詫び証文(静岡県) | 二度と悪さはしませんと |
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