昔話に見る鬼の類型
鬼の一口
鬼が人間の家に忍び込んで食べ物を盗んでいます。
まず、鬼は人間の家にある餅を見つけて、一口で食べましたが、餅は鬼の口の中でふくらんで、鬼は苦しみました。
鬼は餅を吐き出そうとしましたが、餅は鬼の口にへばりついて、なかなか出ませんでした。
鬼は水を飲んで餅を流そうとしましたが、餅はさらにふくらんで、鬼はもっと苦しみました。鬼はとうとう餅を吐き出すことができましたが、そのときには鬼の口は大きく裂けてしまいました。
次に、鬼は人間の家にある豆腐を見つけて、一口で食べましたが、豆腐は鬼の喉に詰まって、鬼は息ができませんでした。
鬼は豆腐を吐き出そうとしましたが、豆腐は鬼の喉にくっついて、なかなか出ませんでした。
鬼は手で豆腐を掻き出そうとしましたが、豆腐はさらに喉に詰まって、鬼はもっと息ができませんでした。鬼はとうとう豆腐を吐き出すことができましたが、そのときには鬼の喉は大きく傷ついてしまいました。
そして、鬼は人間の家にある石を餅に見立てた罠にかかりました。
鬼は石を一口で食べようとしましたが、石は鬼の歯に当たって、鬼は痛みに悶えました。
鬼は石を吐き出そうとしましたが、石は鬼の歯に引っかかって、なかなか出ませんでした。鬼は石を抜こうとしましたが、石はさらに歯に引っかかって、鬼はもっと痛みに悶えました。鬼はとうとう石を吐き出すことができましたが、そのときには鬼の歯は全部折れてしまいました。
このお話は、鬼が人間の食べ物を盗んで食べることの悪さを教えるとともに、鬼が人間に対して恐れをなすことの無力さを示すという教訓が込められています。
鬼は人間を食べることができるかもしれませんが、人間の食べ物を食べることはできないということです。
鬼は人間に対して威嚇することができるかもしれませんが、人間の仕掛けた罠にかかることもあるということです。このお話は、人間と鬼の関係を風刺したものとも言えます。