鬼の類型

甲州街道訪ね歩き

鬼の類型


指に足りない 一寸法師
小さいからだに 大きな望み
お椀の舟に 箸の櫂
京へはるばる 上り行く

京は三条の 大臣殿に
抱えられたる 一寸法師
法師法師と お気に入り
姫のお伴で 清水へ

さても帰りの 清水坂に
鬼が一匹 現われ出でて
食ってかかれば その口へ
法師たちまち 躍り込む

針の太刀をば 逆手に持って
ちくりちくりと 腹中突けば
鬼は法師を はき出して
一生懸命 逃げて行く

鬼が忘れた 打出の小槌
打てば不思議や 一寸法師
一打ち毎に 背が伸びて
今は立派な 大男

 一寸法師は、子どものいなかったおじいさんとおばあさんが神様にお願いして授かった小さな男の子です。
 身長は一寸(約3センチ)しかありませんでしたが、賢くて勇敢でした。
 一寸法師は、立派な武士になりたいと思って、都に行くことにしました。おじいさんとおばあさんは、一寸法師に針を刀に、お椀と箸を船にしてあげました。一寸法師は、お椀の船に乗って淀川を下り、都に着きました。

 都では、三条の宰相のお屋敷で働くことになりました。
 一寸法師は、宰相の娘の姫様に気に入られました。ある日、姫様と一緒に清水寺にお参りに行きましたが、途中で鬼に襲われました。鬼は姫様をさらおうとしましたが、一寸法師は針の刀で鬼を刺して追い払いました。鬼は逃げるときに打ち出の小槌を落としました。
 一寸法師は、打ち出の小槌を拾って、姫様に自分を大きくしてほしいと頼みました。
 姫様は、打ち出の小槌を振って、一寸法師を立派な若者に変えてあげました。

 一寸法師は、姫様と結婚しました。そして、おじいさんとおばあさんを都に呼んで、みんなで幸せに暮らしました。一寸法師は、小さな体でも大きな心と勇気を持って、自分の夢をかなえました。
 この話は、人の姿や身分にとらわれず、努力と信念で困難を乗り越えることができるという教えを伝える話です。