鬼の類型

甲州街道訪ね歩き

鬼の類型


 『ないたあかおに』は、赤鬼と青鬼の友情を描いた昔話です。赤鬼は人間と仲良くなりたいと思っていましたが、人間は赤鬼を恐れて近づきませんでした。
 そこで、赤鬼は家の前に「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます」という立て札を書きました。
 しかし、人間はそれを見ても疑ってしまい、赤鬼の家に遊びに来ることはありませんでした。

 ある日、赤鬼の友達になった青鬼が、赤鬼の悩みを聞いてくれました。
 青鬼は赤鬼の願いを叶えるために、自分が悪い鬼のふりをして人間の村に行って暴れると言いました。
 そして、赤鬼が青鬼をやっつけるふりをすれば、人間は赤鬼をやさしい鬼だと思うだろうと言いました。赤鬼は青鬼に申し訳ないと思いましたが、青鬼は強引に赤鬼を連れて村に向かいました。

 青鬼は村でわざと人間を襲い、赤鬼はそれを止めるふりをしました。
 青鬼は「ポカポカなぐれ」と小声で言い、赤鬼は「ポカポカなぐれ」とうつまねをしました。
 青鬼は赤鬼に負けたふりをして逃げていきました。その様子を見た人間は、赤鬼がやさしい鬼だとわかり、赤鬼の家に遊びに来るようになりました。赤鬼は人間の友達ができてとてもうれしかったです。

 しかし、赤鬼は青鬼と会っていないことに気づきました。
 赤鬼は青鬼にお礼を言いたいと思って、青鬼の家に行きました。
 しかし、青鬼の家には青鬼の姿はなく、赤鬼宛ての手紙がありました。手紙には、青鬼が赤鬼と一緒にいると人間に疑われるかもしれないと思って旅に出たと書いてありました。青鬼は赤鬼の幸せを願っていて、いつまでも赤鬼の友達でいると言っていました。赤鬼は青鬼の優しさに感動して、手紙を何度も読み返し、涙を流しました。

 この話の教訓は、友達のために自分を犠牲にする青鬼の心や、人間と仲良くなりたいと願う赤鬼の心を通じて、友情や思いやりの大切さを伝えるということです。
 また、人間は見た目で判断せず、本当の心を見るべきだということも教えてくれます。
 この話は、日本の昔話のひとつとして、多くの人に愛されています。