鬼の正体は自然現象や自然災害
鬼は自然現象や自然災害のことであるという説があります。
この説は、鬼が雷や火山、地震などの自然現象と関係があるという記録や、鬼が飢饉や疫病などの自然災害の原因とされることに基づいています。
鬼は人間の力ではどうにもならない天災や災厄の象徴として考えられ、鬼に対する恐怖や畏敬の念が生まれました。鬼は農業や豊作の守護神としても崇められることもありました。
また、日本では古来から自然を神聖視する山岳信仰的な思想があり、山は水源や狩猟場、鉱山などの恵みを与えるとともに、火山や土砂崩れなどの災害をもたらす恐ろしい存在として、畏敬の念を持って接しました。
山は神や霊が降臨する場所であり、この世とあの世の境界とも考えられました。そのため、山には鬼や天狗などの妖怪も棲むとされ、山に入る者はそれらと出会う危険があると信じられました。
鬼とは、日本の民間伝承に登場する人間に似たが角や牙などの異形の姿をした怪物のことです。鬼は山に住み、人間を襲ったり、災いをもたらしたりする邪悪な存在として恐れられました。
しかし、鬼は人間の死者の霊や、山の神の使いとも考えられ、時には人間に力や知恵を授けたり、教えを与えたりする善良な存在としても見られました。鬼は人間との関係によって性質が変化するとも言われました。
このような山岳信仰は、仏教や修験道などの宗教とも結びつき、山には仏や菩薩、権現などの仏教的な神仏が宿るとも考えられるようになりました。
修験道は、山に入って厳しい修行を行い、山の霊力を得ることを目指す宗教で、役小角という呪術者が開祖とされます。修験道の修行者は山伏と呼ばれ、鬼や天狗と交流したり、使役したりするという伝説が生まれました。
山伏は鬼や天狗の姿を借りたり、鬼や天狗に化けたりすることができるとも言われました。山伏は鬼や天狗との関係によって、山の神秘的な力を身につけたと考えられました。
例えば、天狗は、山に住む鬼の一種で、鼻が長く、翼や羽衣を持ち、扇子や剣などの道具を使って空を飛んだり、念力を使ったりするという。天狗は山伏の師匠や守護神として描かれることもありますが、人間の傲慢さや欲望を罰することもあります。
山岳信仰と鬼の関係は、山が人間にとって恐ろしくも尊い存在であるという日本古来の思想と、仏教や修験道などの宗教との融合によって形成されたものです。山には鬼や天狗などの妖怪が棲むとされる一方で、山に入って鬼や天狗と交わることで、山の力を得ることができるとも信じられました。
山岳信仰と鬼の関係は、日本の民間伝承や文学などにも多く影響を与えています。