甲州街道訪ね歩き

甲州街道訪ね歩き

江戸時代(1603-1868)~民間信仰に現れる鬼


鬼のイメージの変化

 明治時代以降、鬼のイメージは急速に変わり、怖い存在から可愛いキャラクターへと変化しました。赤い顔、角、牙、怖い表情など、かつての怖い要素が可愛らしい特徴として再評価され、鬼は愛嬌たっぷりのキャラクターとして親しまれ、絵本やアニメ、ぬいぐるみなどで広く愛されています。

 現代では、鬼信仰は宗教を超え、神社や寺院で鬼を祀ることが一般化しています。全国各地で鬼を祭るイベントや祭りが行われ、特に七福神巡りの中で鬼を祀る神社や寺院が注目を集めています。これらの場所は観光名所としても人気があり、例えば、埼玉県嵐山町にある鬼鎮神社は全国でも数少ない鬼を祀る神社として知られています。鬼鎮神社は1182年に創建され、平安時代末期から鎌倉時代初期の武将・畠山重忠公が造営した菅谷城の鬼門除けの守護神として建立されたと言われています。

 節分の儀式も、鬼信仰の一つの表れです。節分は旧暦の大晦日にあたり、一年の厄を払って新しい年を迎える行事です。
 鬼は厄の象徴とされ、豆をまいて追い払うことで福を招くとされています。しかし、鬼を祀る神社では、鬼は内とされ、鬼の力を味方につけることもあります。

儀式のエンターテイメント化

 節分の儀式は日本の伝統として古くから行われてきましたが、現代ではエンターテインメントとしても楽しまれることが増えています。
 有名人や芸能人が参加することもあり、豆まきや鬼の扮装をした人が境内を走り回ることもあります。

 さらに、鬼に関連したものも多く存在します。鬼の絵馬やお守り、御朱印などは神社で手に入れることができ、そのデザインや色彩から写真映えするものも多いです。これらのアイテムはSNSなどでシェアされることもあります。

 節分の儀式はただの伝統的な行事だけでなく、現代のエンターテインメントや観光、アートとしても楽しまれています。それぞれが日本の文化や歴史を色鮮やかに表現しており、訪れる人々にとっては楽しいだけでなく新たな発見や学びの場ともなっています。

 鬼は、現代のポップカルチャーにおいても広範に活用されています。アニメやマンガ、ビデオゲームなどでは、鬼は様々な形で描かれ、視聴者やプレイヤーの感情や思考を刺激します。また、鬼をモチーフにした商品やグッズも人気があり、例えば「鬼滅の刃」のヒットに伴う関連商品の数々には圧倒されます。これらは、鬼が日本の文化の一部として広く受け入れられていることを示しています。さらに、鬼のイメージは時代や社会的背景により変化し、恐怖の対象から崇められる存在へと変遷してきました。これらの事実は、鬼が日本のポップカルチャーと社会に深く根ざしていることを示しています。

鬼滅の刃のヒット

 「鬼滅の刃」は、2016年から連載されている漫画で、2020年にはアニメ化されて大ヒットしました。
鬼滅の刃では、鬼は人間を食べる邪悪な存在として描かれていますが、人間だったころの記憶や感情を持っている鬼もいます。
 鬼は、人間の血を飲むことで強くなり、特殊な能力を持つようになります。鬼は、鬼殺隊と呼ばれる鬼狩りの剣士と戦います。鬼殺隊は、鬼の首領である鬼舞辻無惨とその配下の十二鬼月と呼ばれる強力な鬼と対決します。鬼舞辻無惨は、人間の血を飲ませて鬼に変えることができる唯一の存在で、自分の血を飲ませた鬼には絶対的な服従を要求します。
 鬼舞辻無惨は、自分が鬼になった理由や目的を明かしませんが、人間に対して深い憎しみを抱いています。

 鬼滅の刃は、鬼と人間の関係や、善悪の境界を問いかける作品です。鬼は、人間だったころの記憶や感情を持っていることが多く、人間との交流や葛藤を見せます。
 鬼は、人間になりたいと願う者や、人間に恨みを持つ者、人間と共存しようとする者など、さまざまな性格や思想を持っています。
 鬼は、人間を食べることで生きることができるので、人間との共存は難しいとされていますが、鬼と人間の間には友情や愛情も芽生えます。鬼は、人間になることができるのか、人間と鬼はどこで違うのか、人間と鬼はどうすれば共存できるのか、などの問題を抱えています。鬼滅の刃は、鬼と人間の関係を通して、人間の本質や生き方を考えさせる作品です。

 鬼は日本の文化において多様な役割を果たし、人々の想像力や感動を刺激しています。鬼に関する作品は、日本だけでなく海外でも人気があり、鬼は日本の文化の代表として認知されています。