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高尾山自然観察手帳

高尾山の草花FLOWERS

 高尾山は、自生する植物の種類が多く、四季折々のさまざまな姿を楽しめます。1600を超える種類の植物が確認されており、その数はイギリス全土で自生する種類の数に匹敵するといわれています。
 そんな高尾山を山歩きをしている時「あの花の名前は何て言うんだろう」と思うことはありませんか。森を歩きながら、この「高尾山自然観察手帳」をスマホで開いてみて、確認してみましょう。



アキノキリンソウ

山で見かけたアキノキリンソウ

キク科
 アキノキリンソウは日本全国に生育する多年生の草本です。草原から明るい森林に生育し、高尾山では1号路、5号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、南高尾でよく見かける。和名は秋に咲く麒麟草であり、花が美しいのでベンケイソウ科のキリンソウにたとえたものという。別名のアワダチソウは花序の姿を盛りあがる酒の泡にみたててつけられた。
 茎は直立して高さ80センチメートル前後、上部は分枝して花序となる。基部の葉はスプーン形であるが、中部から上部になるにつれ、柄が短くなり、葉身が卵形から披針(ひしん)形となる。8〜10月、分枝した枝に多数の頭花をつけ開く。頭花は数個の舌状花と筒状花からなる。花が終わると、円柱形の種をつける。種には長さ約4ミリの毛が生え、風で運ばれる。


アズマイチゲ

山で見かけたアズマイチゲ

キンポウゲ科
 裏高尾、南高尾の落葉樹林のふちや山麓の土手などに生える多年草。陽光を浴びて、茎の先に白い花を一輪だけ咲かせる。関東地方に多く、花が1つということから「東一華(あずまいちげ)」の名が付いた。
 高さ15〜20cmになる。根茎は横にはい、ところどころに紡錘体のふくらみがある。根生葉は2個3出複葉で、小葉はさらに裂ける。茎葉は3出複葉で3枚が輪生する。小葉は先に鋸歯があり、長さ2〜3cm、やわらかく垂れ下がる。花は径3〜4cm、白い花を茎先に1つつける。しかし、この白い花びらのように見えるのは萼片である。萼片は花弁状で8〜13個、線状長楕円形、白色で基部と裏面はすこし紫色を帯びる。紅紫色を帯びるものもある。
 春先に同じような場所に咲くキクザキイチゲと似ているが、こちらの葉はふちがギザギザしているので見分けがつく。


イナモリソウ

山で見かけたイナモリソウ

アカネ科
 1〜2号路、6号路、稲荷山地のやや湿った木陰やがけ、沢沿いの道に生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)で高尾山ではぜひ見つけたい花の一つ。三重県の稲森山で最初に発見されたことから、その名が付いた。ぜひ見つけたいとしたのは高尾山でも広く自生しているが、数はさほど多くないから。また、背丈が低く、あまり群生しないので見つけにくい花でもある。
 5月上旬〜6月下旬頃、1つの茎に4枚から6枚の葉を広げ、淡い赤紫色の花が浮かんだように咲く。花の直径は約2.5センチで、先が5つに分かれている。ふちはフリルのように波うち、デリケートな雰囲気。雄しべのつく位置によって、雌しべが長い花と短い花の2つのタイプがある。


イチリンソウ

山で見かけたイチリンソウ

キンポウゲ科
 4月から5月初めに高尾山では、林縁に直径4cmぐらいの花が茎の頂に一個咲く。春に咲くこのかわいらしい白い花は高尾山を訪れる多くの人に愛されている。
 高さ約20〜30cm。根径は白色多肉質でやや長く、横にはう。花茎には三小葉からなる有柄の苞葉を三枚輪生する。花弁状のがく片は白い楕円形で外面は淡紫色。ニリンソウなどより全体的に大きく花も一回り以上大きいので目立つ。花が咲いたあと、晩春ごろから葉が枯れ込み始め、初夏には地上部が枯れて、長い季節を地下部のみで過ごします。花びらの裏側が薄いピンクをしていることか別名「ウラベニイチゲ(裏紅一華)」という。


イワタバコ

山で見かけたイワタバコ

 イワタバコ科
 日陰と湿気を好むという少し変わった性質を持つかわいらしい花を咲かせる植物。山で見かけた湿った岩壁で見かけるが、この垂れ下がった大きな葉がたばこに似ているためこの名がある。
 葉身は普通長さ6-15cmだが、50cmにまで成長するものもある。葉はしわのある楕円状卵形で先は鋭くとがり、基部は翼をもつ柄に連なる。縁には不ぞろいな鋸歯がある。 8月頃に高さ10-20cmの花茎を出して花をつける。花冠は径約1−1.5cmで5裂し筒部は短い。雄ずいは5個あり、花冠の基部に着き花糸は短く、葯は直立している。


エイザンスミレ

山で見かけたエイザンスミレ

スミレ科
 スミレ類としては異質の、細裂した独特な葉を持つ種類。花の色が、白に近いものから紅色に近いものまでいろいろ幅がある。エイザンスミレは林下の登山道や林道の脇など、腐葉土で風通しのよい半日蔭に生えるようだが、高尾山では自然研究路2号路、4〜5号路、稲荷山、裏高尾のほか沢沿いの林の下やふち、林道など、木陰から日当たりのよい場所まで、いろいろな環境に生えている。
 エイザンスミレは葉が細く裂け、一目で他のスミレとは区別がつきやすい。葉は根生し,葉柄があり,葉身は深く3裂,外側の2片はそれぞれが2裂したのち,各裂片はさらに細かく分裂する。花後に出る葉はずっと大きく,葉身は単純に3裂する。比叡山で発見されたことから、その名が付けられた。


ウバユリ

山で見かけたウバユリ

ユリ科
 主に谷筋などの明るい落葉広葉樹林下に生育するが、路傍などにも生育する多年草。高尾山では湿った林内に生えているが、一度花を咲かせると鱗茎ごと枯れてしまう、一回繁殖型植物。花の咲く頃には葉が落ちてしまうので、葉(歯)が無い、ということが「姥」のイメージになったとか。(これではセクハラ)
 茎は太く,下半部に15〜25cmの狭卵心形で上面光沢のある葉を数個つける。夏,茎頂に筒状で緑白色の花を横向きに数個つける。花被片は6枚,長さ7〜10cm薄緑色をした花で異様な感じがする。地下に鱗茎(いわゆる百合根)がある。早春、ユリ科とは思えないような根生葉を広げる。




オドリコソウ

山で見かけたオドリコソウ

シソ科
 裏高尾沢沿いのやぶや林のふちなど、半日陰のところに咲く多年草。平地の道端でも普通に見られる。
 和名は踊子草の意味で,花の姿を笠をきて踊る踊子の姿に見立てたもの。
 葉は先がとがった広い卵形で、長さ約5〜10センチ。茎は方形で直立し高さ30〜60センチメートル、基部から細い走出枝を出す。葉は対生し、広卵形で長さ5〜10センチメートル、4月下旬〜5月中旬頃筒状の唇形の花が、茎の上部につく葉の脇にびっしりとついている。下側の花びらは3つに分かれ、真ん中が大きくつき出している。ここが虫のとまり場になり、蜜を求めてハチが集まってくる。花の色は白や淡黄色、ピンクのものがあるが、高尾山では白いものが多い。
 これは春の草で、初夏には地上部が枯れてくる


カタクリ

山で見かけたカタクリ

ユリ科
 南高尾、北高尾の日当たりのよい落葉広葉樹林の中に生える多年草。南高尾梅ノ木平に群生地がある。3月下旬〜4月上旬頃、木々が芽吹く前の林に生え、他の植物が茂る前に姿を消す植物のことを春植物(スプリング・エフェメラル)と呼び、その代表的な山野草のひとつである。
 葉は長さ約6〜12センチの長い楕円形で、長い柄があり、通常2枚つく。厚みがあってやわらかく、表面には普通は紫色の斑紋がある。花茎の先に淡い紅色の花が1つ下向きにつく。花びらは6枚あり、長さ約4〜5センチ。万葉集でうたわれた「かたかごの花」の呼び名が「片栗」の名の由来である。日中に花に日が当たると、花被片が開き反り返る。日差しがない日は終日花が閉じたままである。開花後は3室からなる果実が出来、各室には数個-20程の胚珠が出来る地下茎はデンプンを多く含んでいて、昔は片栗粉がつくられた。


カントウカンアオイ

山で見かけたカントウカンアオイ

ウマノスズクサ科
 寒葵(カンアオイ)とはこのように書くが、葉の形があの徳川家康の紋所のマーク、葵に似ていて、冬でも枯れずに緑色をしているので「カンアオイ」と呼ばれる。
 茎は地に伏してごく短く、先端から暗紫色の長い柄がある卵状楕円形で、基部が心臓形の葉を毎年1枚ずつ出す。葉の表面には普通は雲紋状に白い斑が入る。なお、この葉に日本特産のギフチョウが産卵する。
 10〜12月に開花する。地面に埋もれるように花を咲かせるので目立たない。およそ地味な植物ながら、栽培マニアが多く、地域変異の亜種や品種も多いマニアックな植物です。花にしても、およそこれくらい地味な花もないでしょう。
地面に枯れた植物体が転がっているとしか思えず、少々グロテスクな感じさえします。
 花粉の媒介者は、アリ、ヤスデ、ナメクジ説とかがあったようですが、今では「キノコバエ」によるものだろうとされています。


カントウミヤマカタバミ

山で見かけたカントウミヤマカタバミ

カタバミ科
 山地の林の下に生える。太い根茎をもつが分岐しない。柄の長い3つの小葉をもつ葉を根生する。小葉の先端は切形になり、中央がへこむ。葉柄や葉の裏面、花茎や萼、苞には細かい軟毛が密に生える。
 3〜4月、高さ7〜15cmの花茎の先に、白い5枚の花弁の花を咲かせる。花の直径は3-4cmで、白い花弁に紫色の筋があるものもある。雄しべは10個あるが、そのうち5個は短い。雌しべの柱頭は5裂する。花期が過ぎると閉鎖花をつける。花の後には、長さ約2cmの刮ハを作り、中に白い外皮に包まれた種子を作る。種子が熟すと刮ハからはじき出される。
 葉は、暗いと閉じる睡眠運動をする。柄の長い3つの小葉をもつ葉を根生する。小葉の先端は切形になり、中央が凹む。母種のミヤマカタバミに比べ、葉裏の軟毛が少ない。果実は刮ハで長さ6-12mmと小型で卵球形になる。


キジョラン

山で見かけたキジョラン

ガガイモ科
 1〜6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾、北高尾林の中に生えるつる性の多年草。茎はやや太く、硬くて圧毛がある。切ると白い乳液が出る。葉は対生し、葉身は卵円形、長さ7〜12cm、幅6〜12cm。先はやや突出しその先は鈍形、基部はやや円形〜浅心形で全縁。表面はほとんど無毛、裏面は淡緑色で全体に圧毛があるか脈上に微毛がある。葉柄は長さ3〜6cm。花は葉腋から2〜3cmの柄の先に散形状の花序をつけ、花冠は白色で喉部に毛があり、釣鐘形で5中裂、径約4mm。花柄は長さ7〜12mm、萼とともに密に圧毛がある。
 高尾山ではあちこちに見られ、アサギマダラという美しいチョウの幼虫が食べる草として知られている。熟した実がはじけると長い白い毛が生えた種が出てきて、その様子が白毛を振り乱す鬼女のように見えることから「鬼女蘭(きじょらん)」の名が付けられたというから、なんとも恐ろしい。
  果実(袋果)は緑色で、倒卵形〜長楕円形でやや太く、長さ13〜15cm。翌年の秋に熟すと、縦に割れて種は風で運ばれる。


キツネノカミソリ

山で見かけたキツネノカミソリ

ヒガンバナ科
 裏高尾山地の林のふちや沢沿いの草地に生える多年草。早春に長い葉を出すが、夏には枯れてしまい、そのあとに花茎をのばして8月上旬〜9月上旬頃、オレンジ色の花を3〜5個つける。花は直径約5〜7センチで、花びらは6枚あり、斜め上を向いて咲く。葉は細長い形で長さ約30〜40センチ。
 狐の剃刀という特徴的な名前の由来は、細長い葉が剃刀にように見えたことから来ている。「狐」がついている由来は様々な説があるようだが、キツネノカミソリは葉が無い状態で花が咲くので、その姿が狐に化かされたようだ、という説がある。
 キツネノカミソリは群生することが多く、この直立した茎と花が沢山並ぶと圧巻。よく似る同じ仲間のオオキツネカミソリは雄しべが長く花からつき出ているが、キツネノカミソリは雄しべと花びらが同じくらいの長さなので見分けがつく。全草に有毒成分が含まれ誤って食べると吐き気や腹痛を引き起こす。


ギョリンソウ

山で見かけたギョリンソウ

イチヤクソウ科
 3〜4号路、奥高尾6月中旬〜7月下旬頃全体が白く、緑の葉をもたない腐生植物(腐葉土の上に生えて、その養分を分解する菌と共生して成長する植物)。葉緑素を持たない植物で、山地の暗く湿った、落ち葉が積もる落葉広葉樹林の中に多く咲いている。何か陰気で気持ち悪い植物なのであまり気に止めない事が多いかも知れない。
 漢字では「銀竜草(ぎんりょうそう)」と書き、下向きにつく花と葉がうろこ状に変化した鱗片葉(りんぺんよう)に包まれている姿を銀色の竜に見立てて付けられた。ガラス細工のような繊細な美しさがあるが、梅雨時のうす暗い林の中で咲くことから幽霊茸(ゆうれいたけ)とも呼ばれ中国では、「 水晶蘭 」と呼ばれており、よく見ると確かに美しい色をしている。
 花は筒状で、3〜5枚の花びらがつく。雌しべの先は広がり、少し紫色をおびている。果実は液果(えきか:熟すと水分を多く含みやわらかくなる果実)で、茎が倒れるとつぶれて種を散らす。

 


クワガタソウ

山で見かけたクワガタソウ

ゴマノハグサ科
 6号路、裏高尾の沢沿いの林の下など、やや湿ったところに生えている多年草。5月上旬〜6月上旬頃、木々の芽吹きも終わったころに咲きはじめる。花のあとにできる扇形の実につく萼の形が、武将がかぶる兜の飾りである「くわがた」に似ていることから、その名が付けられた。兜を見たことがない人でも幼い頃、折り紙で作ったことがあるのではないか。
 一見すると、離弁花のように見えるが、実は合弁花。直径1センチ前後で淡紅紫色の花冠は4深裂し、裂片は平開する。中心部に紅紫色の筋状の模様が入る。葉は対生、形は卵形で、先がややとがり、ふちにあらい鋸歯がある。とくに上部につく葉は大きく、長さ約3?5センチにもなる。茎や葉には、短い毛が生えている。
 良く似たヤマクワガタは、茎に軟毛が多く、花が小さく、花色も薄い。

 


コミヤマスミレ

山で見かけたコヤマスミレ

スミレ科
 4号路、6号路、裏高尾の沢沿いの暗く湿ったところに見られる多年草で、4月下旬〜5月中旬頃、高尾山ではいちばん遅い時期に咲くスミレである。陽当たりのいい場所でなく、水の染み出るような日陰の林下など、「スミレ」の明るい春の日向のイメージと遠い場所に咲く人目に知られる機会の少ないスミレ。
 大きな葉がよく目立つが、それに比べると花は小さく、直径は約1センチ。色は白く、下の花びらには紫色の筋が入っている。花の後ろについている萼は、短い毛が生え、少し反り返っている。これは他のスミレには見られない特徴で、見分けるときのポイントになる。 葉は卵形〜楕円状卵形で長さ2〜4cm。表面は緑色〜紫色を帯びるものまで変化は多く、雲紋が入るものもある。表面にはやや長い白毛が生える。花の終わりの時期が近づくと、閉鎖花を盛んにつける。





サラシナショウマ

山で見かけたサラシナショウマ

キンポウゲ科
 1号路、4〜6号路、稲荷山、裏高尾の山地の木陰や沢沿いに生える多年草(複数年のあいだ成育する植物)。9〜10月頃、白い小花が密生する長さ20〜30cmの円柱状の穂状花序をつける。小花には花柄があり、白い花弁に見えるのはガク片で、早めに散る。 雄しべは10mmほどで白色、ガク片が落ちた後も残り、棒状のブラシのようになる。白い花序は、林の中でも良く目立つ。
 葉は3枚ひと組の複葉が何枚も集まって、互い違いに茎につく。小葉は長さ約3〜8センチの先のとがった卵形で、ふちにふぞろいの鋸歯がある。
 名の由来は、サラシナショウマは、春先に、まだ花茎(かけい)が伸びないころの若葉を、1〜2日間小川の清流などで、よくさらしてアク抜きをしてから茹でて、おひたしなどの山菜料理にするところから「晒(さら)し菜(な)升麻(しょうま)」という和名がついたという。升麻(しょうま)は、中国名の「升麻」から。 升麻とは、「葉は麻に似て気を上升(上昇)する」の意。
 花が終わると長さ1センチほどの実をつける。熟すと割れて周囲に薄いひだがある種を出す。
 サラシナショウマは根茎を薬用とし、解熱、解毒、鎮静、鎮痛などの目的で漢方に処方されます。 民間薬としては、煎液を口内炎や扁桃腺炎のうがいに、また、草かぶれなどの外用に利用した。


シモバシラ

山で見かけたシモバシラ

シソ科
 1号路、5号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾の山地の木陰などに生える多年草(複数年のあいだ成育する植物)。
 よく冷え込んだ朝、枯れたこの草の根元を見ると、茎から鰭状に氷が張り出し、まさしく、霜柱となって氷の彫刻を作っている。これは茎の維管束の中の水が凍って茎の外へと伸びだしたもので、それがこの植物の名の由来。
 9月上旬〜10月中旬頃茎の上部の脇から10センチほどの花穂をのばし、片側だけに白い花をたくさんつける。茎は4稜形で、直立し、やや分枝する。葉は先の尖った長楕円形で、鋸歯があり、短い葉柄があり、対生する。花は上唇が2裂、下唇が3裂した唇形花だが、大きく開くので釣り鐘状に見える。4本の雄しべは葯が赤紫色で、四隅から長く突き出す。花の中から雄しべと雌しべが長くつき出し、ピンク色の花粉が美しい。花びらはカサカサとして、和紙のような手触りである。


シャガ

山で見かけたシャガ

アヤメ科
 1〜6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾、いろは、奥高尾山麓から頂上にかけて、沢筋、林の中やふちなど、うす暗いところに生えている常緑の多年草。原産地の中国にはタネができるものがあるが、日本のものは種をつくることができないため、根茎をどんどんとのばして、ふえていく植物。その特徴を利用して、土手道などの土留めによく植えられている。
 アヤメによく似た白い花を咲かせるシャガ。すらっとした姿の葉が魅力で、冬でも枯れない丈夫な性質をしている。人里近くの湿地に自生しているので、名前は知らなくても一度は見かけたことがあるかも。
 葉は剣形で、長さは約30〜60センチ、やや厚く強い光沢があって垂れる。春に茎を斜めに伸ばして、その先に白地に青い斑点が入る花を多数咲かせる。長い地下茎を伸ばし、その先に芽をつくってふえるので、大きな群落をつくる。
 花の直径は約4〜6センチで朝開いて夕方にしぼむ。花びらのふちには細かい切れ込みがある。全体に淡い紫色で、外側の花びらの中央部に入る紫色とオレンジ色の模様が美しい。花の期間が長く、群生して咲いているのでよく目立ち、高尾山でもあちこちで見ることができる。


ジュウニヒトエ

山で見かけたジュウニヒトエ

シソ科
 2号路、5号路、裏高尾、奥高尾の乾燥気味の斜面や雑木林など、日当たりのよいところに生える多年草。伐採された斜面によく群生し、全体が縮れた白っぽい毛でおおわれている。真っすぐにのびる茎をとりかこむようにたくさんの花がつき、何段にも重なるように咲いて、花の穂を立てる。
 葉の脇から穂状花序を出し、小さな青紫色ないし白い唇形の花を輪生させる。花は幾重にも重なって咲く。花径は5ミリから10ミリくらいである。上唇は2つに浅く裂ける。下唇は大きく3つに裂け、真ん中の裂片が大きい。雄しべは4本で、2本が長い。背の低い植物なので、周囲の植物が繁ると衰退する。盗掘によっても数が減っている。
 全体に白い毛を密生させるその姿を宮中の女官が着る十二単に見立てたことが、名前の由来である。





シュンラン

山で見かけたシュンラン

ラン科
  5号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、南高尾の明るく乾燥した雑木林などに生えている多年草。本種も高尾山で数が少なくなったランのひとつ。漢字で「春蘭」と書くように、ランのなかでは最も春早く3月下旬〜4月下旬頃に咲く。
 シュンランは、北海道から九州に広く分布し、カタクリと並ぶスプリングエフェメラルの代表種であり、日本が世界に誇る野生ラン。シンビジウムの仲間で、主に里山や人里に近い山地の雑木林などに自生し、古くより季節の花や祝いの花として親しまれてきた。。
 葉は細く、縁には細かいぎざぎざがある。地下には数個のバルブが連なり、太い根がたくさん伸びていく。春に緑色の花を1茎に1花、まれに数花を咲かせます。花後には花茎が伸びて果実がつく。堅い果肉の中には、粉のようなタネが無数に入っています。秋も深まるころには地下に翌年の花芽を抱き、そのまま寒い冬を落ち葉の中でじっと過ごし、春を待ちます1年中、緑色の葉が根もとからたくさん出ているので、春早い時期でもよく目立つ。




シロヨメナ

山で見かけたシロヨメナ

キク科
 1号路、3〜6号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、山地の木陰や道端に生える多年草。低い山地や高原から高山まで、生息域の広い白菊の仲間。別名のシロヨメナ(白嫁菜)も、 ヨメナ の白花ということからの名前。平地では晩秋まで花を咲かせる秋の花。
 茎に白い毛がまばらに生え、茎の先は少し枝分かれをする。8月〜11月頃、花は直径約1.5〜2センチの頭花で、枝先に短い 柄をつけて数個がまとまって咲く。黄色い筒状花の周りに白い舌状花が8〜13枚つき、花のもとの部分には長さ4ミリほどの筒状の総苞がある。地下茎があり、株立ちとなって群落を形成することもある。
 「カントウヨメナ」や「ノコンギク」より花が小さめで、花弁がややまばらな印象があるが、他の似たものに比べて山地性なので、ある程度標高の高いところの半日陰の林下などでは、このシロヨメナの確率が高いよう。似た花のイナカギクとはイナカギクの花びらは丸みを帯びてシロヨメナはほっそりとし、総苞の形はイナカギクは釣鐘、 シロヨメナは細長く筒状になっている


セキヤノアキチョウジ

山で見かけたセキヤノアキノチョウジ

シソ科
 セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字、学名:Isodon effusus )は日本固有種で、シソ科ヤマハッカ属の多年草。秋に、青紫色の口唇形の花を咲かせる。本州岐阜以西〜九州の日本の山地の木陰に生息する。
 茎は細長く上へ伸び、所々で枝分かれする。主茎や枝から多数の細長い柄(を出して、その先に花を付ける。花は青紫色で胴長。花の先は唇形である。基部側にがくがあり、がくは5裂し、裂片は鋭くとがる。葉は卵形で先はとがる。葉は茎に対生。
 花名は秋に丁字形の花を咲かせることによる。 透き通るようなブルーが美しい。アキチョウジの名前は秋になって丁子に似た花が咲くことからつき、セキヤは箱根に多く見られることから関所の番小屋、関屋の秋丁子と呼んだのだそう。
 花言葉は「秘めやかな思い」。


セッコク

山で見かけたセッコク

ラン科
 1号路、6号路の沢沿いなど湿り気のある場所の樹木や岩の上などに着生する常緑の多年草。高尾山では5月中旬〜6月下旬頃スギの老木の上などに着生し、美しい花を咲かせる。
 節のある細い棒のようなバルブを何本も束ね、細い根でしっかりと木や岩に着生し、晩春から初夏に白や淡い桃色の花を咲かせる。花後に新芽を伸ばして、つやのある葉を広げながら、新しいバルブが伸びていく。冬前には葉が落ちて、バルブの状態で冬を越す。このバルブに翌年花が咲きます。花の直径は約3〜4センチで、白色から淡いピンク色。甘い香りがある。一番下の花びらは、根元の部分の内面に短い毛が生えている。葉は細長く、長さ約3〜5センチ。厚く光沢があり、2〜3年は茎についている。茎はもとの部分から束になって出ており、縦にすじが入り、たくさんの節をもつ。
 漢字で「石斛」と書き、健胃、消炎、強壮効果などがあることから、漢方薬として用いられている。


セントウソウ

山で見かけたセントウソウ

セリ科
 1〜6号路、蛇滝、裏高尾の沢沿いの道端や林のふちに生える多年草。3月下旬〜4月下旬頃春の早い時期、葉が開くより先に花が咲く。数あるセリ科の花の中でも、春一番に咲く小さな花。
 全体がやわらかく、繊細な雰囲気がある山野草である。漢字で「仙洞草(せんとうそう)」と書くが、名の由来には諸説あるが、人里離れた仙人の住まいを「仙洞」といい、そのような所に自生しているという意味か。その他、この花は他の花々に先駆けて咲くことから、「先頭」をきって咲くという説もある。
 葉は3枚がワンセットつく複葉で、それぞれの葉には細かな切れ込みが入る。紫色をおびた長い葉柄が特徴で、根もとからのびる。葉の間から茎をのばし、その先に直径1ミリほどの白い花をたくさんつける。5枚の花びらは内側に曲がってつき、花からつき出た黄色い雄しべが目立つ。花が終わると、長さ約3〜5ミリの楕円形の実をつける。

 


センボンヤリ

山で見かけたセンボンヤリ

キク科
 1号路、5号路、稲荷山、奥高尾の日当たりのよい草地に生える多年草。春と秋の2回、花をつけることが特徴で、その姿もガラッと変えてしまうユニークな植物である。
 葉は根本に集まってロゼット状になります。春の葉は卵形で、縁には欠刻があり、裏面には白いクモ毛が密生し、秋の葉は長さ10〜16cm、幅3〜4cmの倒卵状長楕円形で、羽状に中裂する。春の花は直径約1.5cmで高さ5〜15cmの花茎の先に1個つきます。頭花はまわりに裏面が紫色を帯びた舌状花が1列に並び、中心に筒状花がある。
 夏から秋には高さ30〜60cmの花茎をのばし、先端に閉鎖化を1個つける。閉鎖化は筒状花だけが集まったもので、長さ約1.5cmの総苞に包まれたまま実る。
 そう果は長さ約6o。冠毛は淡褐色で長さ長さ約1cm。4月中旬〜5月下旬頃、約15センチの背丈で、小さな白い花を咲かせる。花びらの裏が淡い紫色をしているので「ムラサキタンポポ」の別名もある。
 葉もタンポポに似て、スコップの先のような形をしている。秋になると約60センチにもなる長い花の茎をのばし、その先につぼみのままで終わる花をつける。これは閉鎖花 と呼ばれるもので、ふわふわの毛に包まれている。このような茎が何本も並んでいる様子を大名行列の毛槍にたとえたことが「千本槍」の名の由来となっている。

 


タカオスミレ

山で見かけたタカオスミレ

スミレ科
 「スミレの山」といわれる高尾山を代表するスミレ。1号路、蛇滝、裏高尾の沢沿いの湿り気のある半日陰の林のふちなどを好んで咲いている。高尾山で最初に発見されたことから、その名が付けられた。全国にも分布しているが、高尾山でいちばん多く見られる。昭和3(1928)年にヒカゲスミレの変種として発表され、4月上旬〜5月上旬頃花が咲く時期、葉の表面がこげ茶色をしているところが特徴である。
 ただし、花が終わると緑色の葉が出てくることでヒカゲスミレとの見分けはむずかしくなる。花の直径は約1.5〜2センチで、ほのかな香りがある。色は白く、花びらには細かい紫色の筋が入っている。葉は長さ約3〜6センチで、卵形かやや長い卵形をしている。




タチツボスミレ

山で見かけたタチツボスミレ

スミレ科
 1号路、3〜6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾、南高尾人家周辺の道端から山地の林まで、いろいろな場所に生える多年草。3月下旬〜5月中旬頃花の咲いている期間が長いので、よく見かけるポピュラーなスミレである。スミレと言えば本種を指すことも。
 地上にのびる茎がよく枝分かれをして、株をふやしていく。花は直径約1〜2センチの淡い紫色で、ときどき白い花も見られる。下の花びらと横に開く花びらには、紫色の筋が入っている。葉は長さ約1〜4センチの先がややとがったハート形で、葉柄のつけねには、くしの歯のような切れ込みがある托葉がつく。距 は細く、長さ約6〜8ミリ。花の時期の背丈は15センチほどだが、花が終わると約30センチにもなる。このように「立ち上がる」姿から「立坪菫(たちつぼすみれ)」の名が付いた。
 花の時期には全ての葉が地下茎から出る(根生葉)に見えるが、花が終わると地上茎が伸び立ち上がり、葉も茎に互生につく。


チゴユリ

山で見かけたチゴユリ

ユリ科
 1〜6号路、稲荷山、蛇滝、いろは、裏高尾、奥高尾、北高尾の山地の明るい林の下に生える多年草。地下茎を横にのばし、つる枝を出してふえる。茎の先に1〜2個の白い花が、斜め下を向いてつく。まれに枝分かれして3個つけることもある。斜めに傾いている姿はお辞儀でもしているようです。可憐さが特徴で、林の下に群生することが多いため、植物の背丈や花が小さいわりに見つけやすいのが特徴。
 小さな花がおじぎをするように咲く姿を稚児に見立てて、その名が付いた。花の直径は約2センチで、先のとがった6枚の花びらが開く。葉は長さ約4〜7センチの先がとがった楕円形で、うすく、つやがあり、笹の葉に似ている。花が終わると直径約1センチの球形の実をつけ、熟した実は黒くなる。
 それぞれの下部から地面をはって伸びる茎を出し、その先に新しい芽をつくって増えていく栄養増殖を行う多年草だが、芽が出ると親株は必ず死んでしまうため、疑似一年草とも言われている。
 ホウチャクソウとチゴユリの自然雑種である「ホウチャクチゴユリ」は両種の中間型といった形態で、昭和59(1984)年に高尾山で初めて発見された。


ツリフネソウ

山で見かけたツリフネソウ

ツリフネソウ科
 1号路、4号路、6号路、裏高尾、奥高尾、南高尾の沢沿いの道端や水辺など、湿り気のあるところに生える一年草。9月上旬〜10月中旬頃、葉の脇から花茎 を出し、紅紫色の花を数個つける。つり下がる花の姿を釣舟という花器に見立てて、その名が付けられた。花は長さ約3〜4センチで、先が上下に大きく開く。花びらと萼片はそれぞれ3枚ずつあり、そのうちの1枚の萼片が大きく袋状になり、後ろの部分がくるりと巻いた距になっているのが特徴。葉は長さ約5〜13センチ、幅約2〜6センチのひし形状の楕円形で、長い柄がある。先はとがり、ふちに細かい鋸歯がある。茎はやや赤みをおびて、節がふくらむ。花が終わると長さ約1〜2センチの実をつける。熟すと少しの刺激ではじけて種を飛ばす。


ナガバノスミレサイシン

山で見かけたナガバノスミレサイシン

スミレ科
 1〜2号路、4〜5号路、裏高尾、南高尾、春まだ、早い時期に、沢沿いの湿った林のふちや林内などに生える多年草(複数年のあいだ育成する植物)。その名のとおり、長い葉をもつ大型のスミレである。太くて長い根を持つスミレサイシンの葉を細くしたようなスミレです。葉の形は、ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)に似ています。
 太平洋側に多く分布しているが、葉が短いスミレサイシンは日本海側に多い。葉は細長いハート形で、花が咲くより遅く開く。
 3月下旬〜4月中旬頃長さ約5〜8センチの葉を丸めたままの状態で、花をつける。花の直径は約2〜2.5センチで、主に淡い紫色をしているが、高尾山では白いものが多く見られる。花が終わると、葉はさらに大きく長さ15センチくらいになる。節のある太い地下茎を長くのばしてふえていく。


ニガナ

山で見かけたニガナ

キク科
 1号路、5号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、山地の草原、丘陵地など、幅広い環境に生えている多年草。高尾山でも明るい道沿いで見ることができる。茎や葉を傷つけると、苦みのある白い乳液が出ることから「苦菜」の名が付けられた。
 茎や葉が細く、見た目はひょろっとして縦に長い。葉の根もとには、鋭いとげのような鋸歯がある。5月〜7月頃、花の直径は約1.5センチで、5〜7枚の舌状の黄色い花びらがある。茎の先が枝分かれして、散らばるように数個の花がつく。まれに白い花びらのものがあって「シロバナニガナ」と呼ばれている。また、花びらが7〜11枚で、ひと回り大きいものは「ハナニガナ」という。


ニリンソウ

山で見かけたニリンソウ

キンポウゲ科
 1号路、6号路、蛇滝、裏高尾、奥高尾、南高尾、北高尾、南高尾の山地の明るい林のふちや林内、沢沿いの草原などに生えている多年草。
 1本の茎に2個の白い花をつけることが「二輪草」の名の由来だが、実際には1輪や3輪のものも多く見られる。少し湿ったところを好み、水辺に近い林などではよく群生する。新緑の頃、あたり一面を白く覆い尽くす光景はとても美しい。花の直径は約2センチで、葉の間からのびた2本の花柄の先端で咲く。イチリンソウと比べると、ずっと小さく感じる。花びらに見える5枚の萼片があり、主に白色だが、なかには薄紅色や緑色のものがある。また、萼片が9枚のものなど、変化に富んでいる。茎の途中から柄のない3枚の葉を出すことが特徴である。


ノアザミ

山で見かけたノアザミ

キク科
 5号路、裏高尾、奥高尾、山地の道端、土手、草地など、日当たりのよいところに生えている多年草。がっしりとした印象で、まっすぐに立つ茎の先に紅紫色の花が上向きにつく。5月上旬〜6月下旬、花は頭花とうかと呼ばれるもので、たくさんの小さな花が集まり1つの花のように見えている。直径は約4〜5センチある。花を包むつぼみのような部分を総苞というが、その先端がとがりべたべたと粘り気がある。また、葉のふちには鋭いとげがある。アザミの仲間は種類が多く区別が難しいが、春から夏にかけて咲くのはノアザミだけなのでわかりやすい。アザミの名前の由来は、花は美しいが葉にとげがあり「あざむく」からという説がある。


ノコンギク

山で見かけたノコンギク

キク科
 地下茎が横に這い、あちこちから枝を出すので、まとまった群落を作りやすい。茎は立ち上がって枝を出し、高さは50-100cmに達するが、草刈りをされた場合など、はるかに小さい姿でも花をつけている。根出葉は柄があって卵状長楕円形、茎葉は柄がなくて卵状楕円形から卵形で三行脈、縁には粗くて浅い鋸歯が出る。いずれも葉の両面ともに短い毛がある。根出葉は花時にはなくなる。花は8月から11月頃まで咲く。茎の先端の花序は散房状で、頭花は径2.5cmほど、周辺の舌状花は細長くて紫を帯びた白から薄紫、中央の管状花は黄色。痩果は長さ1.5-3mmで先端には4-6mmの冠毛が多数ある。


ハシリドコロ

山で見かけたハシリドコロ

ナス科
 3号路、裏高尾沢沿いの林のふちなど湿ったところに生える多年草。毒草として有名で、春先の芽や若葉はみずみずしく、誤って食べてしまう事故も多い。幻覚症状を起こし、走り回るほど苦しむことと、根茎がオニドコロ(サトイモ科)に似ていることから、その名が付いた。その一方で、乾燥させた根は、鎮痛剤として用いられている。4月上旬〜5月下旬頃花は長さ2センチくらいのつりがね形で、葉のつけねから暗い紅紫色の花が下を向いて垂れる。花の内側は淡い緑色で、黄色い雄しべが目立つ。花びらのふちは浅く5つに割れている。葉は長さ約6〜18センチの卵形で、表面は葉脈に沿ってでこぼこしている。実は球形で直径1センチくらい。


ハナネコノメ

山で見かけたハナネコメ

ユキノシタ科
 1号路、6号路、蛇滝、裏高尾no
山地の渓流沿いの岩場や湿り気のある林のふちに生える多年草。地味な花が多いネコノメソウの仲間のなかで、ひときわ美しい花を咲かせることから、その名が付けられた。3月中旬〜4月中旬頃まっすぐにのびる茎の先に、直径5ミリほどの小さな花を2〜3個つける。花びらはないが、白くまるみのある4枚の萼が花びらのように上を向いて開いている。その内側からは、先端が紅色をした8本の雄しべが顔を出し、白と赤のコントラストがよく目立つ。葉はまるみのある扇形で、長さは約5〜8ミリ。色は暗い緑色で、ふちににぶい鋸歯がある。花が終わると、根もとから茎を四方にのばしてふえていく。茎にはまばらに毛が生えている。



ハルジオン

山で見かけたハルジオン

キク科
 1号路、5号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、4月〜5月頃春に咲く雑草として普通に見られる多年草。原っぱに群生しているところもよく見かける。もともとは北アメリカ原産の外来種で、大正時代に観賞用として輸入されたものがふえたといわれている。繁殖力が強く、高尾山に限らず、都会の空き地や道端など、全国いたるところで生育している。花の直径は約2センチで、白色か淡いピンク色。つぼみのうちは下を向いているが、上を向いて咲く。花びらは細かく、とても繊細な印象がある。春に咲く紫色の花という意味から「春紫苑(はるじおん)」の名が付いた。全体にやわらかい毛が生え、茎の中が空洞であるところが特徴である。葉はへら形でつけねが茎を抱くようについている。



ヒトリシズカ

山で見かけたヒトリシズカ

センリョウ科
 裏高尾、奥高尾、南高尾の4月上旬〜5月上旬頃山麓から山の上までの林下や草原に生える多年草。茎の上部に4枚の葉が茎をかこむようについており、その中心から1本の白い花序が立っている。その姿を優雅に舞う静御前にたとえて「一人静」の名が付けられた。花序の長さは3センチほどで、白いブラシのようである。白く見えるのはすべて雄しべで、花びらも萼もついていないところが特徴である。茎は真っすぐに立ち、のびはじめのころは赤紫色を帯びているものが多い。葉は長さ約6〜10センチの先がとがった楕円形で、光沢がある濃い緑色をしており、ふちには鋭い鋸歯がある。花が終わると、直径約2.3〜3ミリの球形の実をつける。


フキ

山で見かけたフキ

キク科
 1号路、4〜6号路、蛇滝、裏高尾、南高尾山地の沢沿いの斜面や林のふちなどに多く見られる多年草。早春の頃、葉よりも先に花茎が顔を出す。これが「ふきのとう」で、ほどよい苦みが人気の山菜の代表格。天ぷらやおひたしにして食べられることで知られている。
 3月〜5月頃花には雌株と雄株があり、雌株の花は白く、受粉を終えると茎をのばし、タンポポのような綿毛をいっぱいつけた種を飛ばす。雄株の花は黄色で、咲き終わると枯れてしまう。茎は地上にのびずに、地中で地下茎となって横にのびる。花が終わると、地下茎から葉をのばす。葉は幅約15〜30センチ、葉柄は長さ約60センチになる。葉も煮物や油炒めなどで食べられる。



フデリンドウ

山で見かけたフデリンドウ

リンドウ科
 奥高尾、南高尾、山野の日当たりのよい雑木林や草地などに生える越年草。つぼみの姿が筆の穂先を思わせることから、その名が付けられた。4月中旬〜5月中旬頃晴れると花は開くが、曇りや雨の日は閉じている。花は長さ約2〜2.5センチのラッパ形で、茎の先に数個がかたまってつく。花の先は5つに裂けているが、その間に副片という、短くつきでた部分があるので、10片に裂けているように見える。花の色は青紫色で、まれに白いものも見られる。茎の上部に密につく葉は小さな卵形でやや厚く、長さ約0.5〜1.2センチ。裏面はしばしば赤紫色をおびる。


ホウチャクソウ

山で見かけたホウチャクソウ

ユリ科
 1〜6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾の山地の林のふちや林内に生える多年草。地下茎(ちかけい)をのばしてふえるのでよく群生し、枝分かれをした茎の先に、2〜3個の花が下を向いて垂れ下がる。寺院や五重塔の軒下に下がっている大きな飾り風鈴(宝鐸(ほうちゃく)に花の姿が似ていることから、その名が付いた。花は6枚の花びらが筒状に集まった形で長さ約2〜3センチ。色は淡い緑色をおびた白色。葉は長さ約5〜15センチ、幅約1.5〜4センチの楕円形で、先はとがり表面は光沢がある。花が終わると直径約1センチの球形の実をつけ黒色に熟す。花全体がやや緑色をおび、先が暗い紫色をしたものは「ジンバホウチャクソウ」といい、昭和52(1977)年に陣馬山で初めて発見された。


ミズヒキ

山で見かけたミズヒキ

タデ科
 多年草で、高さ30から80cm。茎の節部は膨らむ。開花期は8〜11月頃、細長い花序が出て、小花をまばらにつける。花弁はなく、花弁状の萼があり、深く4つに裂ける。雄しべは5本である。雌しべの花柱は先が2つに裂け、先端は鍵のように曲がる。萼片4枚のうち3枚が赤く1枚が白い。
 葉は互生、広楕円形で、長さ6〜15cm、先端は尖る。また、時季(初夏の頃)によっては葉に「八」の字の模様(鼻緒のような模様)が入る。托葉があり、鞘状。葉や茎全体に粗毛がある。果実には花柱が落ちずに残り、先は鉤(かぎ)形になる。
 名の由来は、花の姿を祝儀などで使われる紅白の水引きに譬えたものである。木陰などの暗い場所に育つので、目立たない花だが、わび、さびの世界に通じるのか、茶室の脇などに植えられることもあるよう。




ミゾソバ

山で見かけたミゾソバ

タデ科
 1号路、6号路、裏高尾の山地の水辺や田んぼのあぜ道など、やや湿ったところに生える一年草(。茎は地面をはって広がり、上部だけが立ち上がる。茎や葉には下向きのとげがある。8月中旬〜10月下旬頃、花の直径は約6〜8ミリで、茎の先に10個くらいが集まって咲く。花びらは5つに裂け、淡いピンク色をおびた白色で、ときに真っ赤な花も見られる。葉は長さ約4〜10センチで、茎に互い違いにつく。先が鋭くとがり中間がくびれ、もとの部分の両端が耳のように張り出すほこ形をしている。葉の形がソバの葉に似て、溝に生えることから「溝蕎麦(みぞそば)」の名が付けられた。また、葉が牛の顔にも見えることから「ウシノヒタイ」の別名がある。花が終わると、卵形の種をつける。


ミミガタテンナンショウ

山で見かけたミミガタテンナンショウ

サトイモ科
 1〜6号路、稲荷山、蛇滝、いろは、裏高尾、奥高尾、南高尾、北高尾、低い山の林の下やふちに生えている多年草。4月上旬〜4月下旬頃筒状の花びらのように見える仏炎苞のふちが、耳たぶのように張り出していることから、このような名前が付く。
 「天南星」とは中国で夜空に広がる星の意味をあらわし、葉の広がる様子をたとえたもの。その名が付けられた。ウラシマソウやマムシグサもこのテンナンショウの仲間である。濃い紫褐色の仏炎苞ぶつえんほうは葉を広げる前からのびはじめる。雄株と雌株があるが、同じ個体で雄株から雌株へと転換する。葉の柄は花の時期は短いが、花が終わると大きくのびる。葉は7〜11枚がひと組で開くものが、2つついている。形は楕円形で、ふちに不規則な鋸歯 がある。毒性のある成分を含んでいるので、誤って食べると口が焼けるように痛む。


ムラサキケマン

山で見かけたムラサキケマン

ケシ科
 1号路、3号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、南高尾山地の明るい林の下やふちに生える越年草(秋に発芽し越冬して翌年に花が咲く植物)で、平地でも普通に咲いている。ケマン(華鬘)とは、仏壇に飾る花輪をかたどった仏具のことで、花の姿が似ていることから、その名が付けられた。
 全体がやわらかく、傷つけるとやや悪臭がある。根生葉が地をはうように広がり、冬を越す。4月上旬〜5月中旬頃春になると茎をのばし、その先に長さ約1.5センチの花をたくさんつける。花は紅紫色で、ヤマエンゴサクやジロボウエンゴサクとよく似ているが、葉がニンジンの葉のような細かな切れ込みがあるので見分けがつく。全体に毒を含み、誤って食べると嘔吐などをひきおこす。高尾山で見られるウスバシロチョウの幼虫はこの葉を食べる。


ムラサキサギゴケ

山で見かけたムラサキサギゴケ

ゴマノハグサ科科
  裏高尾、奥高尾日当たりがよく、少し湿ったところに生えている多年草。4月〜6月頃田植え前の畦道にカーペットを敷きつめたように群生しているのを見かける。色が紫色で、形が羽を広げた鷺に似ており、地面をはうように枝をのばし、節から根を出してふえる。その様子から「苔」が付けられたコケの仲間ではない。
 葉は根もとにたくさん集まってつく。長さは約4〜7センチで、卵形か楕円形をしている。葉の間から茎をのばし、その先に淡い紫色の花が、まばらに咲く。花は唇形で長さ約1.5〜2センチ。白い花をつけるものを単に「サギゴケ」と呼ぶことがある。


ヤクシソウ

山で見かけたヤクシソウ

キク科
 高さは30-120 cm。初期には根出葉があるが、花時にはほとんどなくなり、茎葉だけになる。茎葉は基部が張り出して茎を抱く。葉は互生し、長さ5-10 cm、幅2-5 cmの長楕円形-倒卵形。茎や葉を折ると苦味のある白い乳液を出す。花期は9-11月で枝の上部に直径1.5 cmほどの黄色い花を固まって咲かせる。花は上向きに開くが、花が終わると下向きになる。
 野菊というと白や薄紫の花を連想するが、このヤクシソウ(薬師草)は黄色の野菊。葉の形が薬師如来の光背(後光)に似ているというのが名前の有力説。かつて薬草(民間薬として皮膚の腫れものに外用)に使われたことによるとする説もある。


ヤマウツボ

山で見かけたヤマザクラ

ゴマノハグサ科
 4号路ブナなど落葉広葉樹の下のやや湿り気のあるところに生えている多年草。木の根に寄生し、養分をもらって成長する寄生植物で、緑の葉をもっていない。地下にある茎が枝分かれをして地中をはい、花だけをつける太い茎をあちこちに出す。その姿はトウモロコシの芯をつき刺したようにも見える。4月下旬〜5月中旬頃開花時期を迎えると、長さ約1.2センチの筒状の花がびっしりとつく。その花穂(かすい:小さな花が集まって穂のようになったもの)の形が、靫に似ていることから「山靫(やまうつぼ)」の名が付けられた。花は白色に少し淡い紅紫色をおびて美しい。花の中からは、先の丸まった細い雌しべがつき出し、まわりにある萼には、細かな毛がたくさん生える。


ヤマホタルブクロ

山で見かけたヤマホタルブクロ

キキョウ科
 1号路、5号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾、奥高尾、南高尾、山野のやや乾燥した草地や道端に生える多年草。
 6月中旬〜7月下旬頃、茎に垂れ下がるようにして花は長さ約4〜5センチのつりがね形で、白、紫、淡い紅色のものなどがある。先が浅く5つに切れ込む。全体に毛が生え、節々から根をおろす匍匐枝を横に出してふえる。茎につく葉は長さ約5〜8センチの長い卵形で、先がとがり、ふちにはふぞろいの鋸歯がある。根生葉はハート形で、花の時期には枯れる。
 蛍袋(ホタルブクロ)の変種である。蛍袋(ホタルブクロ)との違いは、山蛍袋(ヤマホタルブクロ)は萼のつけ根が丸く膨らんでいるのに対して、蛍袋(ホタルブクロ)のほうはその部分がめくれて、反り返っていることで見分ける。
 ホタルブクロは「蛍袋」「火垂る袋(ほたるぶくろ)」「穂垂る袋(ほたるぶくろ)」などと表記され、昔この花に子どもがホタルをつかまえては入れて遊んだとか、提灯に似ている(提灯は火垂袋と呼ばれた)とか花の由来はさまざまあります。それだけ日本人に昔から親しまれてきた花だからでしょう。
 
 


ヤブミョウガ

山で見かけたヤブミョウガ

ツユクサ科
 1〜2号路、4〜6号路、稲荷山、蛇滝、裏高尾沢沿いの林のふちや湿り気のある林内に生える多年草。スギ植林下の日陰で群生する。8月中旬〜9月中旬頃、長い茎をまっすぐにのばし、直立した茎の先端が花序となり多数の白い花をつける。花は直径約6〜8ミリで、茎の先に5〜6段の輪のようになって咲く。その日のうちにしぼむ一日花で、雌花と両性花がまじってつく。
 茎には毛が多く、手触りはざらつく。白色の地下茎が横に長くのびる。葉は長い楕円形で、長さ約15〜30センチ。1本の茎の中間あたりに6〜7枚が集まり、つけね部分は茎を包むようにつく。
 名前の由来は、葉がミョウガ(ショウガ科)に似て、やぶに生えることによる。花が終わると水分を多く含む直径5ミリほどの球形の実をつける。最初は白く、秋には藍色になり熟す。


ヤブレガサ

山で見かけたヤブレガサ

キク科
 1号路、3〜5号路、裏高尾、北高尾丘陵から山地の雑木林に生える多年草。4月中旬、早春に細かな綿毛で覆われた、地面から芽吹いたお化けの傘のような新芽が地面から登場することで人気が高い。ヤブレガサという名前もこれに由来し、キツネノカラカサ、ウサギノカサ、ヨメノカサ、カラカサグサといった傘にちなんだ別名も多い。
 地面からはじめは根生葉が1枚だけだが、株が大きくなると長い花茎をのばして、6月下旬〜10月中旬頃直径1センチほどの花をつける。花は頭花で、白色または淡い紅色。先が5つに裂けた筒状花が7〜13個ほど集まって咲き、つき出している雄しべがよく目立つ。葉は円形で、直径約35〜50センチ。手の平のように深く裂け、長い柄がある。若葉のころは綿毛が生えているが、成長するとなくなる。若葉はゆでて水にさらし、和えものや酢の物、汁の実などに、またはそのまま天ぷらにして食べられる。


ヤマホトトギス

山で見かけたヤマホトtギス

ユリ科
 2号路、4号路、6号路山地の林のふちや林内などに生える多年草。林緑や明るい林床に生育し、草丈は高さ1mほどになる。茎の毛は下向きに生えている。8月中旬〜10月上旬頃、やや小型の花を茎の先に散房花序に着ける。
 花は直径約3センチで、白色の花びらと雄しべに紫色の斑点が入る。6枚の花びらが、下に大きくそり返るのが特徴で、内側からは雄しべと雌しべの花柱が噴水のようにつき出している。その斑点が鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることからこの名になった。 
 2日間ほど花を咲かせる。雌雄同花、自家和合性があり、雄性先熟の虫媒花。子房上位。子房が成長すると花柱がせり上がってきます。熟すと先端が3裂して種子を出します。葉は長さ約8〜13センチの先がとがった長い楕円形で、葉のもとの部分は茎を抱くようにつく。茎には下向きの毛が生えるが、毛の量には個体差が多い。


ヤマユリ

山で見かけたヤマユリ

ユリ科
 1号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾、南高尾山地の日陰がちの斜面や、明るい林、草原などに生える多年草。日本には10種以上のユリが自生しているが、園芸的に最も重要なユリの原種がヤマユリです。
 茎は高くのび、大きな株になると10個以上の花をつける。7月から8月に、遠くにいてもわかるほど強い香りのある、花径20cm強の大きな花を1〜10輪ほど咲かせる。花弁には白地に黄色い帯状の筋が入り、えんじ色か紫褐色の細かい斑点が散る。
 赤褐色の花粉は衣服などにつくとなかなかとれない。山で多く見られることからその名が付いた。ちなみにユリという名前の由来は大きな花が風で揺れる様子から「ユレル」が「ユリ」となったといわれる。葉は長さ約10〜15センチで短い柄がある。地下の鱗茎は大きく食用になる。花が終わると長さ5センチほどの円筒形の実を上向きにつける。


ヤマルリソウ

山で見かけたヤマルリソウ

ムラサキ科
 2〜3号路、裏高尾に多く見られる。山地の沢沿いの湿ったところに生える多年草。4月上旬〜5月上旬頃高尾山では崩れそうな土手の斜面に多く見られる。花のつく茎が地面をはうようにのび、大きな株をつくる。その先に小さな花をたくさんつけるので、背丈は小さいがよく目立つ。花の直径は1センチほどで、花びらは5つに裂ける。はじめは淡い青色をしているが、ピークを過ぎるとだんだん紫色に変わっていく。葉や茎には、白い毛が生えている。長さ約12〜15センチはある大きめの根生葉がたくさん出て、放射状に広がる。靴べらのような形で、ふちはやや波打つ。茎を抱くようにつく葉は、上にいくほど小さくなる。花が終わると、長いつるをのばし新しい株をつくる。




リュウノウギク

山で見かけたリュウノウギク

キク科
 1号路、稲荷山、裏高尾、奥高尾日当たりのよい尾根すじや崖に生える多年草。茎は細く、毛が密生し、上部でまばらに枝分かれをする。竜脳(りゅうのう)という香料に似た香りがする油が、茎や葉に含まれることから「竜脳菊」の名が付いた。10月中旬〜11月中旬頃花は直径約2.5〜5センチの頭花で、黄色の筒状花の周りに白色か淡い紅色の舌状花がつく。花のもとの部分につく総苞は長さ7ミリほどの半球形で、狭い総苞片が3列に並ぶ。葉は長さ約4〜8センチで、通常3つに裂ける。短い 柄があり、茎に互い違いにつく。裏面は細かな毛が密生し灰白色で、ふちには大きな鋸歯がある。葉をすりつぶしてショウガをまぜたものは、肩こりや腰痛に効く民間薬として用いられてきた。


リンドウ

山で見かけたリンドウ

リンドウ科
 奥高尾山地の林内や草原など、日当たりのよいところに生える多年草。茎は直立してのび、枝分かれはしない。漢字で「竜胆(りゅうたん)」と書き、名前はその音に由来する。10月中旬〜11月中旬頃、枝先や葉の脇に青紫色の花を上向きにつけ、日が当たっているときだけ開く。花は長さ約4〜5センチのつりがね形で、先は5つに裂け、その間に三角形の小さな突出部分がある。花の内側には茶褐色の斑点が入る。葉は長さ約3〜8センチの細い楕円形で、茎を抱いて向かい合ってつく。3本の葉脈がよく目立ち、ふちには細かい突起があってざらつく。実は枯れた花びらに包まれてつき、熟すと2つに割れて、つばさ状の突起がついた細かい種を出す。根茎を乾燥させたものは、健胃薬として用いられる。


ワレモコウ

山で見かけたワレモコウ

バラ科
 草地に生える多年生草本。地下茎は太くて短い。根出葉は長い柄があり、羽状複葉、小葉は細長い楕円形、細かい鋸歯がある。秋に茎を伸ばし、その先に穂状の可憐な花をつける。穂は短く楕円形につまり、暗紅色に色づく。ワレモコウは、「吾亦紅」、「吾木香」、「我毛紅」、「我吾紅」などとも漢字表記をすることがある植物です。

 一説では、「われもこうありたい」という思いを込めて名付けられたといわれています
夏から秋にかけて、細い茎の先に小さな花が卵形に集まって咲くのが特徴です。

 花の色は渋い赤色で実は小花が集まって咲いているように見える部分は、花びらではなく葉っぱあが変化した萼と呼ばれる部位になります





information

高尾山自然観察手帳

高尾山は植物研究者にとって最良のフィールドとなっており、高尾山で初めて発見された植物もたくさんあります。