わが国の固有種。低地から亜高山帯までの主に天然林,高齢二次林に生息する。夜行性で、木の洞に巣を作り、昼間はそのなかにひそんでいます。前あしと後あしと尾の間に飛膜があり、夜になるとこの飛膜をつかってグライダーのように滑空しながら移動し,木の芽,葉,花,果実,種子などの植物を採食する。一度に30〜80mを飛び、木から木へと移動します。
大きな木のある社寺林などで,夜間注意していると「グルルル,グルルル」という声が聞こえてくることがあるが、これはムササビがこれから採食のために活動を開始する合図のよう。
食虫目の哺乳類。頭胴長12センチメートル、尾長10センチメートルほど。カワネズミは、九州と本州に生息するモグラの仲間であるが、水中で狩りをする珍しい生態のため目撃され難い。巧みに泳ぎ、手足の指に生えた硬毛が水かきの役をする。水中の小動物を捕食する。
ヒマラヤ・インドシナなどに分布し、日本では青森以南の山間の渓流に生息するが、数が減っている。川際の土中や石の下に巣を作り,春と秋に2 〜3
頭の子を産む。
本種は食虫目のモグラ科に属する哺乳類である。食虫目はその名のように昆虫を主食とする動物で、植物質はほとんど食べない。主たる食物は、ミミズ、その他土中に生息しているコガネムシやカブトムシの幼虫、ケラ、クモ、ムカデ、カエル、カタツムリなどである。
モグラは地下生活をするように進化した動物で、土を掘るための手およびそれを動かすための腕や胸部の筋肉が強大に発達している。
哺乳綱トガリネズミ目モグラ科の動物で、目は皮膚の下に埋まって耳介は無く、モグラに良く似た風貌をしています。体長9〜11cm、尾長3〜4cm、体重15〜26gで、モグラよりも小柄で前足が小さく、鼻が細長くてしっかりした尻尾を持っています。
低山帯の森林や草原の落ち葉の下に生息するが、モグラとは違い地下のごく浅いところで生活していて、自分で長大なトンネルを掘ることはない。夜間には地表も歩き、半地中生活をしている夜になると地上を徘徊することもあるが、日光が照る所には出てこない。「日見ず」という和名もここに由来する。
ウサギ科の哺乳類。体長約50センチで尾は短い。森林や草地にすみ、体は茶色で、耳は長くて先が黒い。子は生まれたときすでに毛が生えそろい、目も開き、すぐ活発に動き回る。夜行性で、きわめて神経質。本州・四国・九州に分布し、北方のものは冬に毛が白く変わる。
天敵が多く、その分逃げ足の速い後足を進化させたノウサギは、敵に発見されにくいよう鳴き声をあげることさえ退化させた。したがって、声帯さえもたない。体毛がカモフラージュとなって、なかなか気づかない。
齧歯目リス科の動物の総称で,ムササビ亜科とリス亜科から成る。小〜中型の動物で,一般に樹上生活に適したほっそりとした体をもっているが,地上生活をするものではずんぐりしたからだつきのものもいる。尾は長く,ふさふさした毛でおおわれる。多くは昼行性で,木の実などを食べる。
主に森林に生息していて、枝で作った巣や木の洞などを拠点に活動しています。冬眠はせずに冬の間も活動し、厳しい冬への備えとして食べ物を地面に埋める習性があります。
頭胴長50〜60 cm、尾長15〜20 cm、肩高約20 p、体重3,000〜9,000 g。全身白毛が混じった灰黒色で、長いさし毛がある。眼の周囲には黒斑があり、四肢や尾の先は黒色を帯びる。長胴短脚の体形で、耳や鼻は丸く、口先は尖っている。接地する後肢の指は4本である。
タヌキは夜行性で、日没の約1時間前から行動を開始し、真夜中の休憩をはさんで日の出まで採餌活動を行う。タヌキには排泄物を特定の場所に集中する「ため糞」と呼ばれる習性がある。
食肉目イヌ科。体長 60〜90cmで,40〜60cmのふさふさした尾をもつ。体色は多くは赤褐色で,胸,腹部は白い。尾のつけ根,背部に臭腺をもち,特異な臭いを発する。
食性は肉食に近い雑食性。 鳥、ウサギ、齧歯類などの小動物や昆虫を食べる。 餌が少ないと雑食性となり人間の生活圏で残飯やニワトリを食べたりする。 夜行性で非常に用心深い反面、賢い動物で好奇心が強い。巣穴はいくつかの小室に分れ,入口も何ヵ所かある。
テンは北半球全体の針葉樹と北部落葉広葉樹林などに広く分布している。体色は夏季は褐色だが、冬季には胸にオレンジ斑を持ち鮮やかな黄色となるキテンと、灰褐色のままのスステンとの2色相に分けられる。
体型は胴長で、足が短く、尾は太い。指の間には小さな水かき状の膜がある。体は細長く、足は比較的短くて頭部は平たい。また、鼻面はとがっていて、耳は幅広くて短く、一見してイタチに似ている。
体形は胴長で脚が短く、尾は太く、指の間に小さな水掻き状の膜がある。夏毛は茶褐色だが、冬毛は全身山吹色になる。顎下は白っぽく、額中央部から鼻鏡部にかけて他種と区別できる濃褐色の斑紋がある。低地の田端や人家の周辺から山岳地帯まで生息するが、中心は平野部の草地で、川沿いなどの水辺を好む。
夜行性で肉食であり昆虫や、ネズミ、時には、鳥の雛やウサギ、にわとりなども捕食してしまう。捕食時に獲物に近づく時は、息をしないで接近するのも特徴である。
体は比較的太く、頭が幅広く短いカエル。みずかきの発達が悪く、指と指の間は深く切れこんでいる。背側線と呼ばれる縞模様は眼の後ろでまっすぐ後方に伸びずに、いったん鼓膜の後ろで外側に曲がります。背面は滑ら。上唇やのどから胸にかけて細かく黒い斑点が多数あり。
伏流水中に、産卵するという変わった繁殖習性を持っている種です。山地に普通にいて、山道を歩いていると飛び出したりしてきます。
平地から1600m程度の高地に分布し、平地と低山地では水田に、高地では湿原に多く見られます。繁殖期は、暖地で2月から始まりますが、一般には4月から5月に行います。
大きさは4〜5p。外国風の響きを持つ名前だが、これは本種の研究に携わったシュレーゲル博士に由来するもので、日本固有種。田んぼや湿地に生息する。指先に吸盤をもち、草本上でみられることも多い。
体長は成体の雄が60〜80 mm、雌が50〜70 mm。幼生は15〜51 mm。木の上に白い泡上の卵を産むことで非常に有名です。天然記念物とされている地方もあります。シュレーゲルアオガエルに似るが、体はずっと大型で、鳴き声もまったく異なります。
背面は緑色あるいは暗緑色で、個体によっては赤褐色、暗褐色あるいは黒褐色の斑紋が不規則に並ぶ。腹面は淡灰色あるいは淡黄灰色。正中線、背側線はない。四肢ともに水かきと吸盤が発達している。
カジカガエルはアオガエル科のカエルで北海道と琉球列島を除く日本各地に分布する。大きさはオスが3〜4.5センチ、メスが4〜8センチと、メスがオスよりひとまわり大きくなります。体は背腹に扁平で眼が突き出る。体色は暗緑色または暗灰色。山地の渓流にすみ,水辺の昆虫類などを捕食する。産卵期は6〜8月で,渓流のよどみの石の下などに約
500個の卵を産みつける。
オスは「フィフィフィフィー」と高く美しい声で鳴き、昔の人は籠で飼育してその声を楽しみました。
ヒダサンショウウオは、背面が紫がかった黒褐色で、黄褐色の斑点がある美しいサンショウウオです。標高200mから1000mの森林に生息します。繁殖期は、2月下旬から5月頃で、渓流の源流域の小さな落ち込みを作る岩の下や伏流水中に産卵します。
卵嚢外皮は、丈夫で虹色の光沢があります。活動するのは主に夜間と薄暗い雨の日など。
日中は岩や倒木の陰などに隠れて休み、薄暗くなってから活動をはじめ、ミミズやナメクジ、クモ、小型昆虫を捕まえて、食べる。
ヤマメは「渓流の女王」ともいわれ、高級魚として名高い美しい流線型の魚です。ヤマメの特徴は、何といってもその胴体に見られる通称「パーマーク」と言われる楕円形の斑紋です。大型のものでは、体長30〜40cmに成長しますが、数としてはかなり少なくそのパーマークも薄くなります。
また、サケ科の魚で海に下るとサクラマスとなり渓流の清らかで冷たい岩清水で育つ美味な魚として有名です。自然界のヤマメは肉食(動物食)で、水生昆虫や落下昆虫を食性としている。
カサゴ目カジカ科の淡水魚。全長 15cm内外。頭は大きく,幅広い。体色は淡褐色から暗褐色まで変異に富む。生 活型や遺伝的に異なる3つのタイプが存在し、海に下る小卵型・中卵型と河川陸封性の大卵型がいる。腹部は淡く,体側には
4〜5個の暗色の斑紋がある。
河川の石礫底に多くすむ。肉食性で,昆虫や小魚などを食べる。3〜6月に雌が石の下などに卵塊を産み,雄がこれを保護する。食用に供される。本州,四国,九州北西部の河川に分布する。
体表はぬめりが強く、油を塗ったようにぬるぬるするハヤというのが名前の由来。全長15cm程で、ふつうは雌の方が体が大きく、河川の上流域から中流域、山あいの湖沼などの水温の低い場所に生息することが多い。
淵や平瀬の底層にいて、底生動物、付着藻類、落下昆虫などを食べる雑食性である。成魚は岩石や柳の下などに隠れ場を持ち、そこから淵の中層に出て、群で摂餌する。。
体色は灰色がかった銀色である。産卵期には頭部から背面にかけて追星(おいぼし)と呼ばれる白い点が現れ、体側は婚姻色の赤と黒の縦縞が鮮やかに出る。大群で集まって産卵する。体長は30cmほど。「ハヤ」とも呼ばれます。
湖沼や川の上流から下流にまで広く生息しており、雑食性である雑食性で、河川の上流から下流まで広く分布し、湖にもいます。
全長約60mm。体は円筒形で細長いが、頭部は平たく、尾部は細い。口は吻端の下側にあり、上唇に3対、鼻孔に1対のひげがある。鱗は大きく楕円形で中心部が大きく発達し、頭部を除く体側全体を覆う。
水が澄んだ流れの緩やかな小川や細流、水田につながる水路や水たまりなどに生息しているが、水質や生活環境がよければ川などにもいる。砂泥底の水草の間や石の下に多く見られ、湧水のあるような水温の低い場所を好み、高水温には弱い。
日本国内では北海道や小笠原諸島以外ならどこにでも住んでいて、アオダイショウやシマヘビと並ぶ、生活の中で比較的よく見られる日本の代表的なヘビの一種です。
カエルを主に捕食する。近年毒蛇ということがわかった。マムシヤハブと異なって奥に毒牙があるために、食いつかれても毒を注入されることはほとんどないが、毒が大変強いため、十分に注意が必要である。また頚部には毒腺があり、ここを押すと毒液が飛び散って目に入ったりするので危険。
タカチホヘビは体の縦方向の中心部分に1本の黒い縞模様が入っている事が大きな特徴となっているナミヘビ科の蛇で山地から平地までの森林内や森林の周辺地帯などに主に生息しています。名前の由来は発見者である昆虫学者の高千穂男爵であると言われています。 土の中に住み、ミミズなどを食べるのでめったに人の目に触れることがないので珍しがられます。。
日本固有種で、北海道、本州、四国、九州および薩南諸島などの離島に分布する無毒種。全長30〜70センチメートルで、マダラヘビ属としては小さく頭部も小さい。体背面は灰褐色で、紫がかった50〜60個の幅広い黒色横帯が頭部から尾部にかけて並び、頭頸部ではとくに幅広い。山地に多く、夜行性で早朝にも行動する。動物食で、主にニホントカゲを食べる。
アオダイショウは、北海道から本州、四国、九州まで幅広く分布している中型の蛇で、日本固有種とされている。腹の両側方には強い隆起があり、瞳孔は丸くい。虹彩はオリーブ色がかった褐色のような色合いが多く、大型の個体は雌の方が多い。体色は、淡い黄褐色から暗褐色のような色合いで、背側は青味を帯びていて、目の後方には黒い縞筋がある。
本種はカエルやネズミなどを餌にし、木登りが得意なため小鳥のひなをねらうこともあります。人の生活圏に棲息しているので屋内に入り込むこともあり、昔から「青大将」は「家の主」とされ、畏敬の念を込めて扱われてきました。
日本特産の無毒の蛇。全長0.8〜1.2メートル。名前の通り地面にもぐる習性がある。基本的に日中に地上及び半地中の生活をするが、夏季のように気温が上がる時期には早朝や夜間に行動するものも見られる。涼しい時期、時間帯に多く見られる。暑くなるとと見かけなくなる。
背面は淡黄褐色から淡赤褐色で、黒い小斑点が散在し、頭部には数本の黒条が入る個体もいるが一般的には成熟とともに薄くなっていく。
水辺の近くでよく見られる無毒ヘビ。全長1〜1.5m。頭胴部には黄褐色地に4条の黒褐色の縦縞が走る。日本の固有種で,全国に分布し,平地や山地の水田,草原,森林などに広く生息。
昼行性でカエル、ネズミ、鳥、トカゲ、他のヘビなど何でも食べる。卵生で初夏に10〜20卵を産む。俗にカラスヘビといわれる全身黒色のヘビは本種の黒化型。
人になじみのあるトカゲで、普通にみられる動物です。 カナヘビの名前は、ヘビのように細長く、可愛いので「愛蛇(かなへび)」と呼ばれるようになったそうです。日本の代表的な種ニホンカナヘビは,全長18〜25cm,尾はその3分の2を占める。体色は褐色または暗灰褐色。
日本全土に分布し,固有種。平地や丘陵地帯の草原や川原に多い。昆虫・クモ類を捕食。5〜8月ごろ1頭の雌が3回ほど産卵し,草の根もとの土中に1回平均4個ほどを産む。尾は自切でき,後に再生する。
日本で単に「トカゲ」といった場合、トカゲ亜目トカゲ下目のトカゲ科トカゲ属に分類される「ニホントカゲ」を指す事がほとんどで、ニホントカゲは全長160〜250mm、体重5〜20g程度の個体が多く、全長の約半分程度が尾になります。鱗が小さく、光沢のある体表をしており、体色は茶褐色で側面に濃褐色の太い帯があります。オスは繁殖期に側頭部から喉にかけて赤みを帯びる婚姻色が出ます。
食性は分類、種により異なり、昆虫類、節足動物、甲殻類、貝類、ミミズ、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、動物の死骸、葉、花やその蜜、果実、種子、海藻等を食べる種が知られている。
汚れのない水質を好み、山間部の渓流にすみ、そこで一生を終えます。わが国では流水域にすむカニでも、産卵時には海に下るのが普通で、海に下らない純粋な流水性のカニは、日本ではサワガニだけです(沖縄をのぞく)。
甲幅約25o。甲羅の色には紫黒色、茶褐色、乳白色ないし灰青色という3つの基本的な色彩が認められる。また、はさみや歩脚も白色、淡黄色、朱赤色などさまざまである。甲は前方に開き、甲面は平滑で胃と心両域の間の溝以外は平滑である。額は前縁が横に垂直に切断された形で、中央に痕跡的な切れ込みがある。
カワゲラ目は有翅昆虫(はねを持つ昆虫)の仲間ではもっとも原始的なグループの昆虫と言われています。日本各地、朝鮮に生息。成虫は陸生であるが、幼虫は水生で河川の岩石面や浅瀬に生息している。不完全変態で、2本の尾毛を有する。
世界から記録されているカワゲラ目は2000種を超えていますが、依然各地からの新種の報告が続いています。これまで、日本から記録されたカワゲラ類は200種に達しますが、まだ未記載種が多く、実際に日本に生息している種類を350〜400種とする推定もあります。
トビケラ目は,昆虫の中では比較的小さなグループで,中生代の初期三畳紀(約2億年前)に,チョウ目(チョウやガ)との共通の祖先から分かれ,幼虫が水中生活に適応したと考えられています。成虫は蛾に似ていますが,翅(はね)には隣粉ではなく短い毛 が密生しています。
現在までに世界で15,000種以上(化石種含む),日本から500種以上が記録されていますが,毎年のように新種が発見・公表される状況で,研究が進めば日本産だけで1,000種近くになると思います。全国の河川や湖沼に分布する。
都市周辺の水域に分布する種類もいるが、トビケラ類の大型種はおおむね水質のきれいな山間部に生息する。